早河シリーズ短編集【masquerade】
12月30日(Mon)
2013年も残り2日。渡辺の自宅に幼なじみの木村隼人が泊まりに来た。
隼人の妻の美月は、息子の斗真を連れて世田谷の実家に帰省している。
『隼人。お前はどうやら伝説の男らしいぞ』
『なんだそれ』
『知るか。俺もお前のどこが伝説になるのかさっぱりわからねぇよ。……やっぱりその憎たらしくて無駄に整った顔か』
『意味わかんねぇことで喧嘩売るな』
隼人も久々に妻と息子と離れて過ごす夜となり、幼なじみ同士の酒盛りはやけに盛り上がった。
だらだらと酒を呷《あお》ること1時間。
酔って口が滑ったとはまさにこのことで、言うつもりもなかった小野田泉と高橋鈴華の一件を隼人に話してしまった。
『へぇ。自分のベッドで女が寝てる美味しい状況で手を出さなかったのか』
『そんな気分じゃなかったんだよ』
隼人の探りをしれっとかわす。隼人は肩を震わせて笑い出した。
『研究のし過ぎでとうとう不能になったか』
『俺はお前のように365日発情期の雄じゃねぇよ』
『365日に24時間も付け加えろ』
隼人の万年発情期にも程があるが、隼人が女として求めているのは美月だけであって、妻の妊娠中の浮気や風俗通いは隼人には無縁の話。
美月が妊娠中にどれほど隼人の嘆きを聞いたことか。
『美月ちゃんもこんなエロ帝王のどこがいいのか』
『ばーか。美月は俺のすべてに惚れてんだよ』
『隼人ってホント昔と比べてバカになったよな。主に美月ちゃんのことで』
日本酒の瓶が空になった。空き瓶と二人分の吸殻が溜まった灰皿を持って渡辺はキッチンに向かう。
『お前もいい加減、バカになれば?』
リビングから隼人の声が飛んできた。こたつに入って仰向けに寝そべる隼人は、彼特有の何もかもを見透かす目付きをしている。
隼人の眼差しは渡辺の気持ちはお見通しだと言っているようで、相変わらずの彼の洞察力には屈服するしかない。
2013年も残り2日。渡辺の自宅に幼なじみの木村隼人が泊まりに来た。
隼人の妻の美月は、息子の斗真を連れて世田谷の実家に帰省している。
『隼人。お前はどうやら伝説の男らしいぞ』
『なんだそれ』
『知るか。俺もお前のどこが伝説になるのかさっぱりわからねぇよ。……やっぱりその憎たらしくて無駄に整った顔か』
『意味わかんねぇことで喧嘩売るな』
隼人も久々に妻と息子と離れて過ごす夜となり、幼なじみ同士の酒盛りはやけに盛り上がった。
だらだらと酒を呷《あお》ること1時間。
酔って口が滑ったとはまさにこのことで、言うつもりもなかった小野田泉と高橋鈴華の一件を隼人に話してしまった。
『へぇ。自分のベッドで女が寝てる美味しい状況で手を出さなかったのか』
『そんな気分じゃなかったんだよ』
隼人の探りをしれっとかわす。隼人は肩を震わせて笑い出した。
『研究のし過ぎでとうとう不能になったか』
『俺はお前のように365日発情期の雄じゃねぇよ』
『365日に24時間も付け加えろ』
隼人の万年発情期にも程があるが、隼人が女として求めているのは美月だけであって、妻の妊娠中の浮気や風俗通いは隼人には無縁の話。
美月が妊娠中にどれほど隼人の嘆きを聞いたことか。
『美月ちゃんもこんなエロ帝王のどこがいいのか』
『ばーか。美月は俺のすべてに惚れてんだよ』
『隼人ってホント昔と比べてバカになったよな。主に美月ちゃんのことで』
日本酒の瓶が空になった。空き瓶と二人分の吸殻が溜まった灰皿を持って渡辺はキッチンに向かう。
『お前もいい加減、バカになれば?』
リビングから隼人の声が飛んできた。こたつに入って仰向けに寝そべる隼人は、彼特有の何もかもを見透かす目付きをしている。
隼人の眼差しは渡辺の気持ちはお見通しだと言っているようで、相変わらずの彼の洞察力には屈服するしかない。