早河シリーズ短編集【masquerade】
『誰か来るぞ』
『こっちだ』
矢野は高木の腕を引っ張ってすぐ側の公園の生け垣に身を隠した。直感的にトンネルの前にいない方がいい気がしたのだ。
まず自転車が物凄いスピードで二台通過していく。近付いてくるライトが眩しくて矢野は一瞬目をつむった。
その後に数名の男が足音を大きくして走ってきた。自転車に乗っていた男も走ってきた男も、全員が制服姿の学生だった。
二台の自転車は二台とも二人乗りをしていて後から走ってきた男は三人、合計七人の学生は生け垣に隠れる矢野達に気付かずに全速力で走り去った。
『なんだアレ。制服見えたけど学校バラバラな奴らだったよな』
学生達が去り、生け垣から身体を起こした高木は彼らが去った方向を眺める。街灯に照らされた学生達は種類の違う学ランやブレザーを着ていた。
『俺らと同じ学校の奴もいた』
矢野も生け垣から抜け出して道に出る。暗がりのトンネルに再び足音が響いた。まだ誰か来るのかもしれない。
蹴り遊びに使ったペットボトルを公園のくずかごに投げ入れた。
『え? うちの学校の奴いた?』
『いたぜ。アレは西堀の制服だった。顔までは見えなかったけど』
『あいつら妙に急いでるみたいだったな。……え?』
二人の目の前にライトをつけた自転車が急ブレーキをかけて停まった。自転車に乗っているのは警官だ。もうひとり後ろから警官が走ってくる。
二人の警官は矢野と高木を交互に睨んで高木の腕を強く掴んだ。
『君達! ちょっと来なさい』
『……は?』
戸惑う高木に構わず、もうひとりの警官も矢野の腕を捕らえて離さない。
『おいっ! 俺らは何もしてねぇよ』
『話は交番で聞く。いいから来なさい』
『話って何だよっ! 俺達ここ歩いていただけだぞ?』
『そうだよ! お巡りさん追いかけてたのってさっきここ走って行った奴らじゃない? 人違いだろっ』
矢野や高木が何を言おうとも問答無用の態度で二人の警官は、矢野と高木を駅前の交番まで連行していった。
交番の狭くて殺風景な空間に矢野達は押し込められ、尋問まがいの質問を繰り返しされてやっと状況が飲み込めた。
警官の話を要約すると、先ほど帰宅途中のサラリーマンが目出し帽を被った複数の高校生に暴行を受け、財布を盗まれる事件が起きた。
同じように最近この辺りでは高校生による集団暴行事件、恐喝やひったくりが多発している。
偶然にも矢野と高木が歩いていた高架下のトンネルの向こう側が事件発生現場だったために、トンネルを抜けた先にいた矢野達が犯人だと警官に誤解されてしまったらしい。
『なぁ、そうなるとさっきの奴らってやっぱり……』
高木が矢野に耳打ちする。矢野は無言で頷き返した。
トンネルから全速力で走ってきた高校生の軍団、彼らが集団暴行や恐喝の犯人だ。
『こっちだ』
矢野は高木の腕を引っ張ってすぐ側の公園の生け垣に身を隠した。直感的にトンネルの前にいない方がいい気がしたのだ。
まず自転車が物凄いスピードで二台通過していく。近付いてくるライトが眩しくて矢野は一瞬目をつむった。
その後に数名の男が足音を大きくして走ってきた。自転車に乗っていた男も走ってきた男も、全員が制服姿の学生だった。
二台の自転車は二台とも二人乗りをしていて後から走ってきた男は三人、合計七人の学生は生け垣に隠れる矢野達に気付かずに全速力で走り去った。
『なんだアレ。制服見えたけど学校バラバラな奴らだったよな』
学生達が去り、生け垣から身体を起こした高木は彼らが去った方向を眺める。街灯に照らされた学生達は種類の違う学ランやブレザーを着ていた。
『俺らと同じ学校の奴もいた』
矢野も生け垣から抜け出して道に出る。暗がりのトンネルに再び足音が響いた。まだ誰か来るのかもしれない。
蹴り遊びに使ったペットボトルを公園のくずかごに投げ入れた。
『え? うちの学校の奴いた?』
『いたぜ。アレは西堀の制服だった。顔までは見えなかったけど』
『あいつら妙に急いでるみたいだったな。……え?』
二人の目の前にライトをつけた自転車が急ブレーキをかけて停まった。自転車に乗っているのは警官だ。もうひとり後ろから警官が走ってくる。
二人の警官は矢野と高木を交互に睨んで高木の腕を強く掴んだ。
『君達! ちょっと来なさい』
『……は?』
戸惑う高木に構わず、もうひとりの警官も矢野の腕を捕らえて離さない。
『おいっ! 俺らは何もしてねぇよ』
『話は交番で聞く。いいから来なさい』
『話って何だよっ! 俺達ここ歩いていただけだぞ?』
『そうだよ! お巡りさん追いかけてたのってさっきここ走って行った奴らじゃない? 人違いだろっ』
矢野や高木が何を言おうとも問答無用の態度で二人の警官は、矢野と高木を駅前の交番まで連行していった。
交番の狭くて殺風景な空間に矢野達は押し込められ、尋問まがいの質問を繰り返しされてやっと状況が飲み込めた。
警官の話を要約すると、先ほど帰宅途中のサラリーマンが目出し帽を被った複数の高校生に暴行を受け、財布を盗まれる事件が起きた。
同じように最近この辺りでは高校生による集団暴行事件、恐喝やひったくりが多発している。
偶然にも矢野と高木が歩いていた高架下のトンネルの向こう側が事件発生現場だったために、トンネルを抜けた先にいた矢野達が犯人だと警官に誤解されてしまったらしい。
『なぁ、そうなるとさっきの奴らってやっぱり……』
高木が矢野に耳打ちする。矢野は無言で頷き返した。
トンネルから全速力で走ってきた高校生の軍団、彼らが集団暴行や恐喝の犯人だ。