早河シリーズ完結編【魔術師】
『その外国人がアーサーレイノルズだとすれば、奴を捕らえて子ども達の居場所を聞き出せる』
『そいつの顔写真はないのか?』
『顔写真か。頼んでみる』
三口だけ飲んだコーヒーを残して早河は席を立った。
『頼むって誰に……チッ。あいつは、いつもいつも大事なことは言わねぇんだ。なぎさちゃんもあんな無鉄砲を旦那に持って大変だろ?』
「もう慣れちゃいました」
なぎさは肩をすくめた。大西は二つ目のケーキを口に放り込む。
『早河のストッパーはなぎさちゃんと真愛ちゃんだ。そのストッパーがなければ俺らの言うことなんて聞かずに、武器も持たずに貴嶋の所に乗り込んでいくかもしれない。だから真愛ちゃんが誘拐されてる今は、早河のタガが外れないか心配なんだよね』
「無茶をしないでと言っても無茶をしてしまう人ですから……」
喫茶店の窓の向こうに店先で誰かと電話をする早河の姿が見えた。
*
喫茶店を出た早河はスマホのアドレス帳に最近新規登録したばかりの携帯番号を呼び出した。一度目はコール音が響くだけで応答がなく、二度目の接続で相手が通話に出た。
『アーサーレイノルズの顔がわかる写真が欲しい。手に入れられるか?』
{わかった。こちらで手配する}
通話相手は佐藤瞬だ。何度か電話のやりとりを交わした後に佐藤がこの番号を教えてくれた。
『手に入ったらメールで送ってくれ』
{ああ。おそらく銃を所持してる。気を付けろよ}
佐藤との電話を切った直後、東京にいる矢野一輝から着信が入った。
{ダンタリオンが管理人やってる例のサイトに侵入して、奴の正体探ろうとしたんですけどこれがなかなか手強くて。セキュリティがめっっっっちゃくちゃ頑丈。もう万里の長城並みに頑丈で矢野くんお手上げ}
『万里の長城行ったことあるのかよ』
{あるわけないっしょーっ!}
貴嶋の部下として浮上したべリアルの篠山恵子は警察の手に落ち、シトリーの小柳岳は自殺した。
残る手下は、現段階でわかる人数では三人。
アメリカ人のアーサーレイノルズ、木村隼人殺人未遂の実行犯のバティンと一連の事件を仕組んだ主犯と思われるダンタリオン。
特に警察の内部情報にも精通する正体不明のダンタリオンの情報は、未だにないに等しい。ダンタリオンが運営する貴嶋のファンサイトに矢野が侵入を試みたが、ハッキング能力の高い矢野が音を上げるほど強固なセキュリティらしい。
{俺と同等か、それ以上の腕のハッカーでもないとこのセキュリティ破るの難しいかも}
『……それならひとりだけ心当たりがある。奴がこちらに協力してくれるかはわからないが』
{もしかして……早河さん、本気の本気で言ってる?}
矢野の声が上擦っている。早河は腕時計を見た。時刻は午前11時半。
『俺はいつでも本気の本気。またタケさんと阿部警視監の力を拝借するか』
『そいつの顔写真はないのか?』
『顔写真か。頼んでみる』
三口だけ飲んだコーヒーを残して早河は席を立った。
『頼むって誰に……チッ。あいつは、いつもいつも大事なことは言わねぇんだ。なぎさちゃんもあんな無鉄砲を旦那に持って大変だろ?』
「もう慣れちゃいました」
なぎさは肩をすくめた。大西は二つ目のケーキを口に放り込む。
『早河のストッパーはなぎさちゃんと真愛ちゃんだ。そのストッパーがなければ俺らの言うことなんて聞かずに、武器も持たずに貴嶋の所に乗り込んでいくかもしれない。だから真愛ちゃんが誘拐されてる今は、早河のタガが外れないか心配なんだよね』
「無茶をしないでと言っても無茶をしてしまう人ですから……」
喫茶店の窓の向こうに店先で誰かと電話をする早河の姿が見えた。
*
喫茶店を出た早河はスマホのアドレス帳に最近新規登録したばかりの携帯番号を呼び出した。一度目はコール音が響くだけで応答がなく、二度目の接続で相手が通話に出た。
『アーサーレイノルズの顔がわかる写真が欲しい。手に入れられるか?』
{わかった。こちらで手配する}
通話相手は佐藤瞬だ。何度か電話のやりとりを交わした後に佐藤がこの番号を教えてくれた。
『手に入ったらメールで送ってくれ』
{ああ。おそらく銃を所持してる。気を付けろよ}
佐藤との電話を切った直後、東京にいる矢野一輝から着信が入った。
{ダンタリオンが管理人やってる例のサイトに侵入して、奴の正体探ろうとしたんですけどこれがなかなか手強くて。セキュリティがめっっっっちゃくちゃ頑丈。もう万里の長城並みに頑丈で矢野くんお手上げ}
『万里の長城行ったことあるのかよ』
{あるわけないっしょーっ!}
貴嶋の部下として浮上したべリアルの篠山恵子は警察の手に落ち、シトリーの小柳岳は自殺した。
残る手下は、現段階でわかる人数では三人。
アメリカ人のアーサーレイノルズ、木村隼人殺人未遂の実行犯のバティンと一連の事件を仕組んだ主犯と思われるダンタリオン。
特に警察の内部情報にも精通する正体不明のダンタリオンの情報は、未だにないに等しい。ダンタリオンが運営する貴嶋のファンサイトに矢野が侵入を試みたが、ハッキング能力の高い矢野が音を上げるほど強固なセキュリティらしい。
{俺と同等か、それ以上の腕のハッカーでもないとこのセキュリティ破るの難しいかも}
『……それならひとりだけ心当たりがある。奴がこちらに協力してくれるかはわからないが』
{もしかして……早河さん、本気の本気で言ってる?}
矢野の声が上擦っている。早河は腕時計を見た。時刻は午前11時半。
『俺はいつでも本気の本気。またタケさんと阿部警視監の力を拝借するか』