早河シリーズ完結編【魔術師】
小山真紀は東京都府中市の府中刑務所の一室で、ある人物を待っていた。職員に連れられて眼鏡をかけた男が殺風景な部屋に入ってくる。
彼は9年前に、真紀が自ら手錠をかけて逮捕した男だ。
部屋に入っても男は真紀と視線を合わせずに対面の椅子に座った。職員が手錠の鍵を外して部屋の外に立ち去ると、彼女は持参したノートパソコンを男の前に置く。
「話は聞いてるでしょ。あなたの力を借りたいの」
『ここに閉じ込められて以降、最新の機器に触れる機会もありませんでした。どこまでお力になれるかわかりませんよ? あなたのご主人ですらハッキングは無理だったと聞きました』
かつて犯罪組織カオスに所属して、その天才的なハッキング能力で数々の犯罪を犯してきた山内慎也《やまうち しんや》は組織内ではスパイダーと呼ばれていた。
「ここに長いこと閉じ込められているわりには、矢野一輝が私の夫だと知ってるのね」
『それくらいの情報は入ってきます。矢野はあの時、僕のセキュリティを突破した。その彼でもセキュリティが破れなかったのなら……』
「謙遜はいらない。こちらには時間がないの。やるの? やらないの?」
真紀と山内の睨み合いが続く。諦めの溜息をついて山内はキーの上に十指を置いた。
『やらないと言ってもどんな手を使ってでもやらせるんでしょう。それが人に物を頼む態度ですか?』
「私だって犯罪者のあなたに頼みたくなかった。でも上からの命令だから……」
貴嶋のファンサイトの管理人、ダンタリオンのサーバーに侵入するには高度なハッキングテクニックが必要だ。
矢野がハッキングを試みたが、彼の力では限界があった。
白羽の矢は府中刑務所に収容されている山内に立てられた。犯罪組織カオスのスパイダーとして名を馳せた山内のハッキング技術は、矢野や科捜研の人間が称賛するほどだ。
矢野の伯父の武田官房長官経由で法務省と警察庁の阿部警視監に根回しをし、武田官房長官直々に山内に協力を要請をした。
彼は9年前に、真紀が自ら手錠をかけて逮捕した男だ。
部屋に入っても男は真紀と視線を合わせずに対面の椅子に座った。職員が手錠の鍵を外して部屋の外に立ち去ると、彼女は持参したノートパソコンを男の前に置く。
「話は聞いてるでしょ。あなたの力を借りたいの」
『ここに閉じ込められて以降、最新の機器に触れる機会もありませんでした。どこまでお力になれるかわかりませんよ? あなたのご主人ですらハッキングは無理だったと聞きました』
かつて犯罪組織カオスに所属して、その天才的なハッキング能力で数々の犯罪を犯してきた山内慎也《やまうち しんや》は組織内ではスパイダーと呼ばれていた。
「ここに長いこと閉じ込められているわりには、矢野一輝が私の夫だと知ってるのね」
『それくらいの情報は入ってきます。矢野はあの時、僕のセキュリティを突破した。その彼でもセキュリティが破れなかったのなら……』
「謙遜はいらない。こちらには時間がないの。やるの? やらないの?」
真紀と山内の睨み合いが続く。諦めの溜息をついて山内はキーの上に十指を置いた。
『やらないと言ってもどんな手を使ってでもやらせるんでしょう。それが人に物を頼む態度ですか?』
「私だって犯罪者のあなたに頼みたくなかった。でも上からの命令だから……」
貴嶋のファンサイトの管理人、ダンタリオンのサーバーに侵入するには高度なハッキングテクニックが必要だ。
矢野がハッキングを試みたが、彼の力では限界があった。
白羽の矢は府中刑務所に収容されている山内に立てられた。犯罪組織カオスのスパイダーとして名を馳せた山内のハッキング技術は、矢野や科捜研の人間が称賛するほどだ。
矢野の伯父の武田官房長官経由で法務省と警察庁の阿部警視監に根回しをし、武田官房長官直々に山内に協力を要請をした。