早河シリーズ完結編【魔術師】

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 →あや@自殺垢
 まりにゃんー!私もうムリ。死にたい。
 なんで生まれてきたんだろう

 →まりにゃん
 私も。生きていてもイイコトないよね。
 死んじゃう??

 →あや@自殺垢
 でもひとりは嫌。怖いしさみしい

 →まりにゃん
 私もひとりでは死にたくないなー。
 あやちゃんって関東住みだったよね?

 →あや@自殺垢
 うん。東京だよ

 →まりにゃん
 私は茨城。あのね最近知り合った自殺垢の人に教えてもらったんだけどひとりで自殺するのが怖い子集めてる団体があるんだって

 →あや@自殺垢
 団体?宗教みたいなヤバい系?

 →まりにゃん
 んー、たぶん怖いとこじゃないよ
 むしろ私たちの味方だと思う。
 そこで話を聞いてもらえて死ぬ方法を教えてもらえるの
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 稲垣絢と古川満里奈はここから、団体と自殺者の連絡係としてSNSを運営するシトリーと呼ばれる人物と接触する。

{シトリーはまたアカウントを開設しているはずだから、その手のアカウントを探って潜り込んでみるよ}

 昨今のSNS事情に精通する矢野には自殺者達のSNS解析を依頼していた。
矢野は警察官ではなく、警察から協力要請を受けている探偵の早河仁に情報提供する情報屋。加えて現在の内閣官房長官である武田健造の血の繋がった甥だ。

 この私立女子高は教室だけでなく廊下にも暖房が入っていて暖かい。真紀が20年前に通っていた高校の校舎はすきま風が入ってとても寒かった。
今の学校は冷暖房の設備もよくなったものだ。

{そうそう、稲垣絢のインスタグラム探ってたら、香奈って子に辿り着いたんだ。絢のツイッターによく愚痴が書いてあった同じ高校の子}
「うん。今その子に話を聞いていたよ」
{事件とは直接的な関係はないだろうけど、香奈はたぶんパパ活してる}

 パパ活とは女性がパパ(パトロン)から金銭的援助を受ける活動のこと。昔で言う援助交際とは似て非なり、基本的にパパ活は肉体関係を伴わずに、食事やデートだけをしてパパとなった男性から金銭を得ている。

「それ本当?」
{断定はできない。だけど香奈のインスタグラム見ると、高校生が入れない高級料理店や海外旅行にも頻繁に行ってるし、ブランド物の服やバッグの投稿だらけ。バイトもしてなさそうだ。いくら私立に通うお嬢さんでも、親が16歳にここまでの金をかけてやるとは思えない}

 香奈のインスタグラムは学校を訪れる前に真紀も閲覧した。
矢野の指摘通り、香奈のインスタグラムには高級料理店でのディナーや夏休みや冬休みにヨーロッパやアメリカに海外旅行に行った時の写真、ブランド物のバッグや靴を誇らしげに投稿していた。

リッチな私生活を誇示するSNSの投稿と16歳の年齢がミスマッチで真紀も違和感を覚えていた。資金源がパパ活となれば合点がいく。
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