早河シリーズ完結編【魔術師】
早河は二階の職員室に寄った。真愛は保健室にいるだろうが、事態の把握も大事だ。
職員室の中は慌ただしかった。電話がひっきりなしに鳴り響き、教師は電話の対応に追われている。これでは電話が繋がりにくいわけだ。
『これは早河さん……! どうなさいました?』
職員室の入り口に佇む早河を見つけた教頭が笑顔を張り付けて近付いてきた。
『どうも。うさぎが死んだみたいですね』
『え……ああ、はい。さすがお耳が早いですね……』
言葉では言わなくとも、“どうしてこんな大変な時に来やがった”と教頭の白々しい作り笑いが物語っている。
『真愛から連絡をもらったんです。発作が起きたようなので心配になって様子を見に……』
「真愛ちゃんなら保健室で休んでいますよ」
早河と教頭の会話に女性教諭が割り込んだ。黒髪のショートヘアーの彼女は、早河の知らない女性教諭だった。
だが、彼女を知らないと思ったのは一瞬の勘違い。よくよく見れば見覚えのある顔だった。
『失礼ですが佐竹先生ですか?』
「はい。やっぱり眼鏡が違うとわかりませんよね」
佐竹明美はトレードマークの赤いフレームの丸眼鏡ではなく、楕円形のシルバーフレームの眼鏡をかけていた。
眼鏡ひとつで顔の印象も変わるものだ。
「若林先生はクラスの方に行っているので……」
『それなら佐竹先生が早河さんを保健室までご案内してあげてください。ここの対応はもういいから』
明美の言葉を教頭が引き継いだ。教頭は部外者の早河を早く職員室から追い出したいようだ。
元刑事であり、今も警察との繋がりが深い早河が学校の問題に関わるのを教頭は好ましく思っていない。
やましいことは隠蔽したがる。学校も企業も警察もどこの組織も同じだ。
校長は温厚な人柄で早河への態度も柔らかい。学校の花壇の手入れも自ら行い、生徒と積極的に関わる校長の周りには、いつも生徒が集まっている。
不登校の生徒が校長室に登校して、校長先生に勉強を教わっている話も耳にした。
対して形式主義な教頭の評判は生徒や保護者からも芳しくない。過去には真愛も校長先生は好きだけど、教頭先生は好きではないとぼやいていた。
数字やマニュアルも大切だ。それがなければ世界の統制がとれない。
しかし形式的で心がない指導は響かない。特に子ども相手には。
職員室の中は慌ただしかった。電話がひっきりなしに鳴り響き、教師は電話の対応に追われている。これでは電話が繋がりにくいわけだ。
『これは早河さん……! どうなさいました?』
職員室の入り口に佇む早河を見つけた教頭が笑顔を張り付けて近付いてきた。
『どうも。うさぎが死んだみたいですね』
『え……ああ、はい。さすがお耳が早いですね……』
言葉では言わなくとも、“どうしてこんな大変な時に来やがった”と教頭の白々しい作り笑いが物語っている。
『真愛から連絡をもらったんです。発作が起きたようなので心配になって様子を見に……』
「真愛ちゃんなら保健室で休んでいますよ」
早河と教頭の会話に女性教諭が割り込んだ。黒髪のショートヘアーの彼女は、早河の知らない女性教諭だった。
だが、彼女を知らないと思ったのは一瞬の勘違い。よくよく見れば見覚えのある顔だった。
『失礼ですが佐竹先生ですか?』
「はい。やっぱり眼鏡が違うとわかりませんよね」
佐竹明美はトレードマークの赤いフレームの丸眼鏡ではなく、楕円形のシルバーフレームの眼鏡をかけていた。
眼鏡ひとつで顔の印象も変わるものだ。
「若林先生はクラスの方に行っているので……」
『それなら佐竹先生が早河さんを保健室までご案内してあげてください。ここの対応はもういいから』
明美の言葉を教頭が引き継いだ。教頭は部外者の早河を早く職員室から追い出したいようだ。
元刑事であり、今も警察との繋がりが深い早河が学校の問題に関わるのを教頭は好ましく思っていない。
やましいことは隠蔽したがる。学校も企業も警察もどこの組織も同じだ。
校長は温厚な人柄で早河への態度も柔らかい。学校の花壇の手入れも自ら行い、生徒と積極的に関わる校長の周りには、いつも生徒が集まっている。
不登校の生徒が校長室に登校して、校長先生に勉強を教わっている話も耳にした。
対して形式主義な教頭の評判は生徒や保護者からも芳しくない。過去には真愛も校長先生は好きだけど、教頭先生は好きではないとぼやいていた。
数字やマニュアルも大切だ。それがなければ世界の統制がとれない。
しかし形式的で心がない指導は響かない。特に子ども相手には。