続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜 花村三姉妹 美愛と雅の物語
いよいよ、俺の番だ。
美愛ちゃんとの思い出が詰まった、Bon Bonのロゴマークについて。社内発表のときと同じように、いや、それ以上に丁寧に伝えたい。
マイクを握り、深く一礼する。それだけで、パッと会場が静まり返った。フラッシュの音も止み、全員の視線が俺に集中しているのがわかる。
「今回、カフェBon Bonのオープンにあたり、カフェと本社である株式会社Bon Bon、この2つのロゴマークが正式に決定いたしました。本日は、そのご報告とご披露の場とさせていただきます」
言葉の切れ目で、客席にどよめきが広がる。
ロゴマークの意味に、みんなが興味を持ってくれているのが伝わってきた。
「まずは、株式会社Bon Bonのロゴマークについてお話しさせていただきます。少し長くなりますが、どうか最後までお付き合いください」
冗談めかして少し微笑んでみせると、会場の空気がふっと和らぐ。壇上脇に立つ大和が、軽くうなずいてくれた。
「私がまだ10代の学生だった頃、将来の進路に悩み、また“男でありながら甘党”であることに葛藤していました。そんなある日、とある女の子と出会いました」
その言葉に、前列の女性たちの表情がふっとやわらぐ。話の行方を想像しているような、期待を込めた目がこちらに向けられている。
「その子は、お菓子とケーキが大好きで、目を輝かせながらこう言ったのです。『大きくなったら、お菓子屋さんになりたいの』と。
そして、こうも続けました。『お菓子を食べると、嬉しくて、笑ってしまうの。だから、みんなにも笑ってほしいの』」
客席から、小さく感嘆の声が漏れる。どこか懐かしくて、純粋で、あたたかい。そんな言葉だった。
「その言葉に、心を打たれました。“男だって、甘いものを好きでもいい”──そう思えるようになった瞬間です。あの子の笑顔と、その言葉があったからこそ、今の自分があります」
俺の手の中で、マイクがわずかに汗ばんでいる。でも、気持ちは不思議と穏やかだった。
「それから私は、家業とは別に、お菓子専門の輸入会社を立ち上げ、いずれは“そのお菓子に合うコーヒーや紅茶を提供できるカフェを持ちたい”という夢を抱くようになりました」
少し離れた席から『へえ……』という男性の声。俺の語る“夢”に、誰かが共感してくれた気がした。
「株式会社Bon Bonのロゴマークは、その“出会い”を象徴しています。中央に描かれているのは、小さなプードルのシルエット。
そしてこのプードルは、カフェBon Bonのロゴでもあります」
ここで一瞬、視線を美愛ちゃんに向ける。
彼女は目を見開いて、まっすぐこちらを見ていた。まるで時間が止まったみたいに。
「実はこのプードル、“Bon Bon”という名前で呼ばれていたぬいぐるみがモデルです。
それは、私が出会ったあの女の子が、幼いころから大切にしていたもので、驚くことに私と再会する遥か昔から、すでに『Bon Bon』と名付けていたのです」
会場のあちこちで、ざわ…、という驚きと感動の混ざった声が聞こえる。偶然とは思えないその話に、誰もが引き込まれている。
「15年以上の時を経て、大人になった彼女と再び巡り合い、偶然その事実を知ったとき、
あの日の言葉と笑顔が、すべて繋がりました。それが、このロゴに込めた想いです」
話し終えた瞬間、会場に大きな拍手が鳴り響いた。目の前がフラッシュで真っ白になる。
けれど、その向こうで、俺が確かに見ていたのは、美愛ちゃんの涙ぐんだ笑顔だった。
そして俺の胸の中に湧き上がるのは、誇らしさと、もう一度彼女を守ろうとする強い決意。
美愛ちゃんとの思い出が詰まった、Bon Bonのロゴマークについて。社内発表のときと同じように、いや、それ以上に丁寧に伝えたい。
マイクを握り、深く一礼する。それだけで、パッと会場が静まり返った。フラッシュの音も止み、全員の視線が俺に集中しているのがわかる。
「今回、カフェBon Bonのオープンにあたり、カフェと本社である株式会社Bon Bon、この2つのロゴマークが正式に決定いたしました。本日は、そのご報告とご披露の場とさせていただきます」
言葉の切れ目で、客席にどよめきが広がる。
ロゴマークの意味に、みんなが興味を持ってくれているのが伝わってきた。
「まずは、株式会社Bon Bonのロゴマークについてお話しさせていただきます。少し長くなりますが、どうか最後までお付き合いください」
冗談めかして少し微笑んでみせると、会場の空気がふっと和らぐ。壇上脇に立つ大和が、軽くうなずいてくれた。
「私がまだ10代の学生だった頃、将来の進路に悩み、また“男でありながら甘党”であることに葛藤していました。そんなある日、とある女の子と出会いました」
その言葉に、前列の女性たちの表情がふっとやわらぐ。話の行方を想像しているような、期待を込めた目がこちらに向けられている。
「その子は、お菓子とケーキが大好きで、目を輝かせながらこう言ったのです。『大きくなったら、お菓子屋さんになりたいの』と。
そして、こうも続けました。『お菓子を食べると、嬉しくて、笑ってしまうの。だから、みんなにも笑ってほしいの』」
客席から、小さく感嘆の声が漏れる。どこか懐かしくて、純粋で、あたたかい。そんな言葉だった。
「その言葉に、心を打たれました。“男だって、甘いものを好きでもいい”──そう思えるようになった瞬間です。あの子の笑顔と、その言葉があったからこそ、今の自分があります」
俺の手の中で、マイクがわずかに汗ばんでいる。でも、気持ちは不思議と穏やかだった。
「それから私は、家業とは別に、お菓子専門の輸入会社を立ち上げ、いずれは“そのお菓子に合うコーヒーや紅茶を提供できるカフェを持ちたい”という夢を抱くようになりました」
少し離れた席から『へえ……』という男性の声。俺の語る“夢”に、誰かが共感してくれた気がした。
「株式会社Bon Bonのロゴマークは、その“出会い”を象徴しています。中央に描かれているのは、小さなプードルのシルエット。
そしてこのプードルは、カフェBon Bonのロゴでもあります」
ここで一瞬、視線を美愛ちゃんに向ける。
彼女は目を見開いて、まっすぐこちらを見ていた。まるで時間が止まったみたいに。
「実はこのプードル、“Bon Bon”という名前で呼ばれていたぬいぐるみがモデルです。
それは、私が出会ったあの女の子が、幼いころから大切にしていたもので、驚くことに私と再会する遥か昔から、すでに『Bon Bon』と名付けていたのです」
会場のあちこちで、ざわ…、という驚きと感動の混ざった声が聞こえる。偶然とは思えないその話に、誰もが引き込まれている。
「15年以上の時を経て、大人になった彼女と再び巡り合い、偶然その事実を知ったとき、
あの日の言葉と笑顔が、すべて繋がりました。それが、このロゴに込めた想いです」
話し終えた瞬間、会場に大きな拍手が鳴り響いた。目の前がフラッシュで真っ白になる。
けれど、その向こうで、俺が確かに見ていたのは、美愛ちゃんの涙ぐんだ笑顔だった。
そして俺の胸の中に湧き上がるのは、誇らしさと、もう一度彼女を守ろうとする強い決意。