【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第43話 嫌じゃない
 真剣な面持ちでそう問いかけられて、私はぶんぶんと首を横に振った。

「わた、しも、ギルバート様と幸せになりたい、です」

 言葉にするとどうしようもないほどに恥ずかしい。でも、視線を逸らしてそう言い切る。そうすれば、ギルバート様は「……そうか、よかった」と小さな声で零されていた。

「だったら、それでいい」
「……はい」
「皆が皆幸せになれるのが一番理想かもしれないな。だけど、それは無理なことだ」

 ……ギルバート様の手が私の頭を撫でてくださる。それにほっと息を吐いていれば、ギルバート様は「だが、シェリルの気持ちはいいことかもしれない」とおっしゃった。

「俺はそんな風に考えられないからな」
「……そうなの、ですか?」

 ギルバート様は大層お優しいと思うけれど……。そう思って私が彼の目をまっすぐに見つめれば、彼は「辺境伯だからな」とおっしゃって肩をすくめられる。

「辺境伯や辺境侯が一番に求められるのは冷酷さだ。冷静に冷酷な判断をすることが求められる」
「……そう、ですか」
「あぁ。国を守るためにはそれくらいの判断力がないといけない」

 確かに、それはそうなのかもしれない。辺境貴族は冷酷なお方が多いというし、そんな彼らをまとめる代表が辺境伯なのだ。つまり、ギルバート様は周囲に侮られない実力と冷酷さを持ち合わせないといけないのだろう。

「それに……だな」
「……はい」
「俺は、シェリルのことを守りたい」

 小さな声でそう告げられて、私の目が大きく見開かれたのがよく分かった。

「……女性に対してこんなことを思ったのは、シェリルが初めてだ」
「……ギルバート様」
「年甲斐もないと笑ってくれてもいい。……だが、どうかシェリルには俺の隣にいてほしい」

 そう言われて、私は何も言えなかった。
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