【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
 ……何だろうか。私がじっと考えていたことが、全部どうでもよくなってしまう。……このお方は、すごい。私の悩みをあっさりと解消してくださるのだから。

「嫌か?」
「……いえ」

 そっと顔を覗き込まれてそう問いかけられたので、私は首を横に振る。その後「嫌じゃない、です……」と消え入りそうなほど小さな言葉を返した。多分、私の顔は真っ赤に染まっている。

「私も……ギルバート様のお隣に、いたい、です。何度も言っていますが……」

 ぎゅっと手のひらを膝の上で握りしめてそう言えば、ギルバート様は「……そうだったな」とおっしゃった。

 実際問題、私の方が結構積極的だったりする。私の方が自分の気持ちを伝える方が多いし。

「じゃあ、もう大丈夫か?」

 そう問いかけられて、私はこくんと首を縦に振る。すると、ギルバート様の表情がふっと緩んだ。

 そして、どちらともなく笑い合う。

「エリカ嬢のことなんだが、もうしばし滞在してもらっても構わないぞ」
「……本当ですか?」
「あぁ、ここ最近の彼女の様子を見て、悪い奴ではないとわかったからな」

 やれやれといった風にギルバート様が肩をすくめられるので、私はぱぁっと表情を明るくしてしまった。

 そんな私の表情を見て、ギルバート様は「……本当に、エリカ嬢のことが大切なんだな」とぼやかれる。

「……はい。私とあの子、いろいろありましたけれど……なんだかんだ言っても、私はあの子のことが大切なのです」

 こじれてしまった姉妹関係だった。けれど、今の私たちならば分かり合える。昔のように、戻れる。そう思えるのだ。

「そうか。……そういう風に思えるのが、シェリルの強みだな」
「そうですか?」
「あぁ、俺にはない考え方だ。俺は一度嫌いだと思った奴に関しては、もう二度と好きにならない性格だからな」

 そういえば、そういうところあるわね。

 そう思いつつ、私はギルバート様のことをじっと見つめる。……彼の目が、揺れた。
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