ハイスぺ年下救命医は強がりママを一途に追いかけ手放さない
そこまで考えてハッとした。私や真優紀の周囲を探っていた人間は本当に和馬の父親の行動だったのだろうか。もしかしてこの女性が手配していた……?
もしそうだとしたら、この対面はいっそう警戒した方がいいだろう。

「ええ、そうです。それが何か」
「私という婚約者がいると知ってのことですか? 和馬さんを不貞行為にそそのかしたと」

麗亜さんは興奮しないように必死に自分を抑えているようだった。私も刺激する気はないが、言いがかりは困る。

「和馬との交際時に、あなたの存在は聞いていませんでした。知らされてからも、和馬はずっと結婚を断り続けていたそうですね。婚約者ですらなかったと」
「話は進んでいたんですわ! それをあなたが台無しにしたんじゃありませんか!」

激した声に、周囲の打ち合わせスペースからちらりと視線がこちらへきた。私は努めて冷静に答える。

「職場ですので、あまり大きな声はやめていただけませんか?」
「和馬さんを奪って、子どもまで産んでおいて、分別くさいことをおっしゃるのね」
「私と和馬の交際、娘の出産は私たちの問題であなたには関係ありません」

静かに答えながら、この正論の連打が目の前の女性にはおそらく無意味だろうとは感じていた。元の性格はおっとりしているように見えたけれど、今は明らかに感情優先で動いている。
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