ハイスぺ年下救命医は強がりママを一途に追いかけ手放さない
現に麗亜さんはわなわなと肩を震わせ、ギッと私を睨んだ。

「和馬さんの心から出て行ってください」
「身を引けという意味でおっしゃっているなら、ご自分で和馬の心を手に入れる努力をなさるのが先ではないですか?」
「妙齢で低所得のあなたは和馬さんの資産が目当てなのでしょう。弁えなさい」

強い言葉に思わずふふっと笑ってしまった。和馬の父と対峙したときの琴絵さんを思い出す。私も同じ血が流れているのだ。

「お嬢さんの価値観では三十一歳は妙齢のおばさんかもしれませんが、女ざかり働き盛りの輝かしい時期ですよ。金銭的にも困ってはおりませんし、あなたが言うほど和馬の資産をアテにはしていません」

怒りで青ざめてすら見える麗亜さんに、私は告げた。

「私は私で自立した人間として和馬を大事に思っています」

麗亜さんががたんと音をたてて立ち上がった。血の気の失せた顔、噛み締められた下唇から口紅がはげ、目がぎょろぎょろしている。

「あなたがそういう態度なら私にも考えがありますから」

何をするというのだろうといぶかしく見つめ返すと、彼女はにやっと笑った。初対面時の上品なお嬢様の面影はもうない。

「あなたの小さな娘さん……、あの子がいなかったら和馬さんはあなたへの未練を断ち切れるかしら」

ぞわっと全身が総毛だった。怒りと恐怖が全身を包み、私は拳を握っていた。
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