娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

番外編:今までの行いって結構大事

今日は待ちに待った、私とシャルの結婚式ーー····



「ふん、まぁせいぜい幸せになんなさいな」
「うん、リリスとっても綺麗よ!」

なんていつも通りの女将とメイに祝われながら、装飾品等は何もないオフショルダーのシンプルなドレスに身を包む。
そこに大好きなシャルの声といつもの団長様や騎士様達の声が聞こえてーー···


「だ、か、ら!ここに入るのは俺だけです!」
「なんで?いいじゃん、どうせ後から会場で見るんだし」
「ここで見れるのは夫である俺だけの特権なんですよ!」
「でもリリスちゃん側の人入ってるんでしょ?」
「あの二人は家族ですから!」
「えー、俺達は?」
「面倒くさい元上司!!!」

なんてきゃいきゃい言いながら部屋に滑り込みすぐにドアを閉めるシャル。

「別に入れてあげたらいいのに」

そう笑いながら伝えると、必死にドアを押さえていたシャルが話ながら振り向いて···

「いや、あれは最終的に俺をからかうのが目的なんだ、だからここは絶対拒否が正解ーー·····っ、!!!」

ドレス姿の私を見てあからさまに固まる。

「えっと、ど、どうかしら?」

既に頬が赤くなってるシャルに釣られて私まで顔が熱くなりながらそう聞くと、ふらふらと吸い寄せられるように私の前まで来たシャルは。


「絶対汚すんじゃないよ」
「脱がしていいのは全てが終わってからですからね」

なんて女将とメイに釘を刺されていて。
更にすれ違い様に『この約束破ったら、鎖で繋ぐからね、アソコを』なんてメイに念押しされて一瞬で青ざめるシャルに笑ってしまった。


「リリス、凄い綺麗だ···」
「ほんと?良かった」

女将とメイが部屋を出て二人になると、なんとかメンタルを取り戻したシャルはそうぽつりと呟き抱き締めてきた。


「本当は装飾品も用意したかったんだが···」
「いいのよ、誰の隣で着るのかが大事って言ったでしょ?それに私達は駆け落ちなんだから!」

なんて言いつつ“こんなに知り合いが来てくれて場所が国にもバレてる駆け落ちって駆け落ちと言うのかしら”なんて疑問はあるのだが。




王女様を無理やり返品し、“英雄”も返上したシャルと私は元敵国の、エト達の住む集落にお世話になっている。

あえてこの場所での新生活をスタートさせた理由は、この戦争によって失った男手をシャルが補完する目的もあるが、実際は生死不明になってた時にとてもお世話になったから。

それと。

“元英雄がこっちの国にいるからこそ、再びの開戦を防ぐ抑止力になる”との事でしれっと国民権まで貰えてしまって。
ちなみにそれを提案してきたのは、魔獣戦でメイン指揮官だったレーヴン公爵様らしく。


「駆け落ちなんて言いながら、しっかり政治利用もされてるのよね」

そう思わず声が漏れるが、

「まぁ、今の平和が守られるならお安いご用だよ」

そうシャルが笑っていたから良しとした。


それに、“だからこそ”大好きな皆にも祝ってもらえるのだから悪い話でもないわよね?

なんて考えていた私は、気付けばシャルの膝に抱き上げられていて。

「あーー、やっとここまで来た···」

耳元でそう呟かれ、そっとシャルの唇が耳に、そして頬に移動し·····

「ストップ!!!お化粧してるから唇にはキスしちゃダメよ、取れちゃうもの!」
「えっ、えぇ····!?」

目を見開いたシャルは、至極残念そうに眉を下げ·····たと思ったらすぐに首筋に唇を寄せた。

「ここもダメ?」
「だ、ダメ!!痕がついちゃうから···っ」
「そっかぁ、見えるとこはダメかぁ、でも俺は可愛くて綺麗で大好きな奥さんにキスしたいんだよねぇ」

なんてクスクス笑う。

“い、嫌な予感がする····!”

不穏な空気を察し、せめて膝から下りようとするが、向かい合うように膝に座らせられ左腕で腰をがっしり抱え込まれていては上手く動けなくて。

「脱がすなとは言われたけどズラすなとは言われてないもんな」

と、満面の笑みで屁理屈を言うシャルがサッとドレスの胸元を下げた。

「ちょっ!!」
「見えないとこならいいんでしょ?」
「そんなこと言ってないわよっ」

慌てて抗議するが、その抗議すら楽しそうに聞いているシャルの舌がドレスから溢れ出た胸の先端に這わされて。

「ひゃっ」
「今日防音障壁張ってないんだよなぁ」
「も、もぉ····っ、い、意地悪···!」

楽しそうにちゅくちゅく舌と唇で弄ばれた。

「あ····はぁ、んっ」
「こんなに尖らしてたら、ドレスの上からでもわかるんじゃないか···?」
「もっ、だ、誰のせいよっ!?」

そんなこと言うのに全く止める様子のないシャルは、舌だけでなく指でも弄び始めて。

「ど、どっちもは····っ、んんっ」
「今晩楽しみだなぁ、初夜って男の憧れだと思うんだよね」

なんて余裕な様子で浮かれている。

“なんか····余裕過ぎてちょっと腹立つわね···!?”

娼館の元No.1のプライドなのかはわからないが、なんとも言えない対抗心が芽生えてきた私はそっとシャルの下半身に手を伸ばして。

「····ーーッッ!?」
「あら?シャルのだって固くなってきてるじゃない」

一気に形勢逆転とばかりにニッと笑った。


「そうくる···!?だったら俺だって」

とドレスの中に素早く手を差し込んだシャルは、すかさず私の蜜壺に指を這わす。


ーーくち

すでに潤っていたソコから水音が響き、その愛液を指で馴染ませながらぐちゅ、と指が挿れられて·······


「や、あ····ん、挿れちゃ····っ、ダメ···!」
「んー?でもこのままだとリリスも辛いでしょ、イっていいよ?」
「やぁぁ、は、んんっ」

ゆっくり確かめるように抽挿され、背中をゾクゾクとした快感が走った。
その快感に反射的に背を反らすと、ふるりと震えた胸にすかさずシャルがしゃぶりついて。

「あ、あぁんっ」
「ん、気持ちい?」

なんて聞かれても思考がまとまらず私はただはくはくと唇を動かした。

気付けば指が増え、ナカでバラバラに動かされる。
こぽりと愛液が溢れるのがわかり、それがまた私の羞恥を刺激した。
そんな私を愛おしそうに見つめるシャルの目が熱を孕み、彼の親指が蜜壺のすぐ上にある芽をぐりっと刺激して。

「も、やぁ····、シャル····っ」
「大丈夫、ほら、イって?」
「ん、んんんんっ!!」

瞳の奥がチカチカとし、力が抜けて目の前のシャルにしがみつくようにぐったりとする。
荒れた呼吸を整えつつ、シャルの肩に頭を乗せながらそっと顔を覗くとすぐに目が合って。


「········ばか、もうすぐ式なのに····」
「えっと、ごめんなさい、俺のお嫁さんだと思うと嬉しくてつい····」
「·······くっ」

恨みがましく睨んだつもりだったのに、可愛い返しをされて心臓を鷲掴みされる。

“可愛いは卑怯···!!”


すっかり機嫌が直った私は、そっとシャルの下半身に視線を動かして。


「·······シャルのソレ、どうするの?化粧の関係で口では出来ないけど、手でなら····」
「大丈夫、王女殿下の事を思い出したらすぐ戻るから······」
「そう··········」


なんて、すっかり心の傷になっているあの騒動をなんと有効活用するらしい。

これを強かと呼ぶのか自虐と呼ぶのかは考えない事にした。



そんな駆け落ち婚である私達の結婚式には、教会こそなく青空結婚式だがしっかり神父様は来てくれていて。


“いや、ほんと駆け落ちとは····?”


なんて思うが、ありがたく受けれる恩恵は受けることにした。


結婚式はそのまま粛々と執り行われ、問題なく終わると思ったが····それは誓いのキスの時の事。


「では、誓いの口付けを」
そう神父様に言われ、そっとシャルの方に向き直る。
そしてレースで編まれたヴェールをそっとシャルが捲り····


「ふっ」
“······今、誰か笑ったかしら····?”

小さく漏れ聞こえた息にそう感じ、シャルも同じく気付いたようで一瞬ギシッと動きが止まる。

それでもすぐ持ち直し私の頬にそっと手を添えて····


「·········くふっ」
「「··············。」」


静かな中に響いた小さく噴き出す声。
チラッと見ると団長様が誰よりも真面目な顔でこちらを見ていて·····

“笑った事を全力で誤魔化してるわね···?”

まぁ、無かったことにしようとしているから···と、すぐにシャルに視線を戻す。
シャルもこちらの意図を察し、ふっと微笑んで顔を近付けてきて·····

「······んふっ」
「「·······················。」」

ふぅ、と小さく息を吐いたシャルは、そのままキッと客席を睨んで。

「誓いくらいさせて下さいよっ!!」

と叫んで····、うぐっと息を呑んだ。


「······いや、団長、それは反則···」
「すまん」


何故なら、今までの行動から絶対笑っているのだと思っていた団長が泣いていたから。

「あー、その、気にせずちゅっちゅしてくれ···」
「いや、逆にやり辛いんですけど···」

なんて文句を言うシャルまでなんだか涙ぐんできて。


“もちろん誰よりも私が幸せにするつもりだけど”

それでも。
彼の戦場ばかりだった日常にもちゃんと築けた幸せがあったのだと実感し嬉しかった。







夜。
式が終わり、青空の下のパーティーは気付けば夜空の下のパーティー···なんて表現するとロマンチックだが、実際はかなり大騒ぎのどんちゃん騒ぎで。
しかも娼館メンバーが来ている事もあり、まるで一階の酒屋に戻ってきたような錯覚まで起きるほど。

そんな懐かしい雰囲気を楽しんでいた私の手をシャルが静かに取った。

そして促されるままそっと会場を抜け出した私達は、既に住み始めている新居の寝室で向かい合って。


「······改めて、って思うとその···ちょっと恥ずかしいわね」
「確かに···」
「あー、その、シャルこれ····一応女将に貰っておいたんだけど、どうする?」

そう言って、娼館でよく使った小さな小瓶···避妊薬を取り出した。

一瞬ハテナを飛ばしたシャルに、“そういえばいつもシャルが来る前に飲んでいたわね!?”と気付きその小瓶の中身を説明しようとすると····

「もしかして、避妊薬?」

状況から察したシャルがそう聞いてきたので、そっと頷いた。


「俺の家って侯爵家で···」
「?」

突然そんな話をされ、思わずキョトンとしてしまう。

「ついでに三男だから、後継者である兄達よりその···割りと放置されてて。ただ俺には魔力があることが早くにわかったからすぐに騎士団に入り、団長のとこで訓練し始めて」

だから、と少し言い辛そうにするシャルに私はじっと続きの言葉を待った。

「だから、その···認めたくないけど団長は俺に“家族”を教えてくれた人で。でもだからこそ、“自分の”家族って憧れだったっていうか、その·····」
少し俯きながら、ポリポリと頬を掻きつつ話を続けるシャルはーー····


「俺に家族、作ってくれる?」
「····もちろんよっ!」


恥ずかしそうにそう呟くシャルを、飛び付くように押し倒すとさっきまでの少し不安そうな表情を消して破顔した。

そしてごろんと体勢を変えたシャルからそっと口付けが降ってきて···


「幸せな日常ってこういうのなんだな」

なんてしみじみ言われ、思わず笑ってしまう。

「こんなものじゃないわよ、まだまだ人生は続くんだから!」

そう答えると、小さく噴き出したシャルは啄むように何度も角度を変えてキスをしてきて。

「ーーん、んっ」

もにもにと横から持ち上げるようにドレスの上から胸を揉んでいたシャルは、待機していた部屋の時みたいにスッとドレスを下にずらす。

溢れるようにまろび出た胸をすぐに優しく握るように揉みながら、少しずつ主張を始めた先端を指先でキュッと摘ままれた。

「やっ、ぁん!」
「可愛い、リリスー···」

可愛い、なんて言いながらそのまま捏ねるように乳首を弄ばれ、すぐにちゅうっと吸い付かれて。

「あっ、んんっ、そんな···強く吸ったら···!」
「気持ちいいよな?」
「あぁ、んっ!はぁんっ」

指と舌で食むように何度も強く刺激され、無意識に嬌声が溢れ出る。

繰り返される胸への刺激に、じゅんっと下腹部が熱を孕むのを感じ、そしてそれに気付いたのはシャルも同じだったようで。

「凄い、ほら、もうこんなに零れてる」

なんて指にねとりと愛液を絡ませ見せられて····

「や、も···っ、汚いから···っ」
「え、どこが?リリスの体に汚いとことかホントにないけど」

そう大真面目に答えられ、逆にうぐっと言葉に詰まる。

“そ、そんな事断言されると余計恥ずかしくなるんだけど···っ!”

思わずそんな事が頭に過り、そちらに一瞬考えが取られ···
その隙を逃がさないとばかりにシャルがサッと両太股をしっかり掴みそのまま脚を大きく開いて。

「ッ!?や、待ってシャ·····ッ!ひゃぁん!」

そのまま熱い舌が私のナカに挿れられた。

抽挿するように出入りしたかと思ったら、その先にある豆を食むように唇で挟まれ、舌で弾かれる。
あっさりと芯を持ち出したその芽を舌で刺激しながらぐちゅりと指が挿れられ内壁をゴリッと強く擦られて。

「あ、あぁ······っ、はぁ、んっ、あんっ!」

導かれるままに快感が巡り、言葉にならない言葉が何度も口から溢れ出た。

ビクビクと腰が跳ねる私を満足そうに眺めながら、指と舌を止める気がないシャルはむしろ抽挿のスピードを上げてきて。

「や、ぁぁあああっ!!」
「上手くイけて良かった」

なんて、上体を起こしたシャルはぐったりする私の額にキスを1つ落とす。

イったばかりでぼんやりする思考のまま、そっと彼の首に腕を回すと今度は深い口付けが降りてきて。

「ん、んぁっ」

私の舌を求めて奥まで舌を入れ、絡めとるように吸われる。
それがとても心地よく、気付けば私は何度も何度もシャルに口付けをおねだりしてーー···


そしてそのまま、彼の腰にそっと脚を絡めた。

「ッ」
「シャルも···その····」

折角読み直しておいた“娼婦のススメ”は、繰り返し与えられた快感で上手く体に力が入らず次回に持ち越し。
それでもシャルに気持ちよくなって欲しくて、そして何より“私が”彼ともっと深く繋がりたくて······

そんな私の気持ちを察したシャルは、くちゅ、と愛液溢れる私のソコに彼のモノをあてがった。


ーーぐちゅ、と粘り気のある水音を響かせながらナカを押し広げるようにゆっくり挿入ってくるシャル。
そんなシャルがとても熱くて火傷しそうな錯覚すらして。

「ん····、リリスのナカ、いつもより熱い···」
「は····んん、シャルのも····熱くて····っ」

ナカのカタチを確認するように、シャルのカタチになるように。
ズチッとゆっくり奥まで挿入れたシャルは、ゆっくり腰を引いたと思ったら今度は最奥を求めるように勢いよく突いた。

「ーーーッッ!!」

そのままパンパンと肉がぶつかる音を響かせながら、何度も何度も奥を突かれる。

「リリスのナカ···っ、凄い締め付けてくる···!」
「や、言わな、あぁんっ!あん、んぁっ!!」

突かれる度にぱちゅぱちゅと溢れる愛液を散らし抽挿のスピードがどんどん上がった。

何度も刺激され喘ぐしか出来ない。
そして唐突に止まったシャルは、私の体を起こして対面で座るような体勢にして····

「ひゃあ!!」

そのまま下から突き上げるようにまた動かし出した。

「待っ、これっ、あんっ、深····っ!」
「ん、気持ちい···っ」

下から何度も突き上げられ、その度にぷるぷると胸が上下する。
その胸を捕まえるように腰を掴んでいた左手で鷲掴みしたシャルは、すぐに反対の乳首にまた吸い付いてきて。

「ダメ、やぁぁ、一緒は、ダメ···なの···っ」
「なんでダメなんだ?」
「だって、あんっ、気持ち、良すぎるから···っ」

パチパチと瞳の奥に星が散り、頭が芯まで痺れた私は正直にそう言っていて···


「それ、もっとしてって意味だよな?」


なんてシャルを刺激してしまったらしかった。
何度も何度も突き上げながら、胸元を満遍なく吸うシャル。

気付けば私の首や胸元に赤い華が大量に散っていてーー····


「ずっと大事にする」
「····ん、私も····」


グリッと一際奥に挿ったと思ったら、じわっとナカで熱いものが広がり、シャルの欲が放たれた事を察した。

その暖かさが凄く幸せに感じ、それと同時にずっと続いていた快感から解放されホッとする。
鈍い重さを感じながら、そのまま横になろうとベッドにうつ伏せになる形で手を置くと、シャルに腰を浮かされて。

「え·····」

“ま、まさか···よね?”

なんて思うが時既に遅く。

未だに固さを保っていたシャルのソコがぐちゅりと挿入された。

「ひゃ、あぁん!」

いつもとは違う角度で別の場所を強く擦り上げられた私は一気にまた絶頂を迎えてしまって。

「だめ、やぁ、イってる、イってるからぁ···!」
「ごめんリリス、気持ちよすぎて止まれない···!」
「や、あんっ」

さっき放たれたシャルの精液と私の愛液がナカで何度もかき混ぜられ、コポコポと零れる。
太股を伝うのを感じながら私は後ろから何度も奥を突かれ続け、また最奥に熱を放たれた。

じわりと広がった熱に、今度こそ···とぐったりとベッドに横になると、そのままシャルも傍に転がって···

「····まさか、よね?」
「絶対無理はさせないから····」

なんて、私の片足を抱えてきて。

「このままリリスは横になってていいよ」と欲を孕んだ視線を投げられる。

“いや、既に十分無理してますけど!?”

慌てた私は全力で抗議すべく「た、体力の差ぁ~!!!」と叫んだ。


「ごめんなさい!調子に乗りました!」
バッとベッドに正座したシャルを横になったまま恨みがましく睨むが、しょぼしょぼと項垂れながらちらちらと視線を送られ、その子犬みたいな様子に思わず笑いが込み上げる。

“これが計算だったら怖いわね”
なんて思いつつ、そっとベッドを叩くとシャルも察したのかすぐに横に寝そべって。


「········腕枕してくれたら、許してあげるわ」

ボソッとそう提案すると、すぐに顔を綻ばせたシャルは私の頭の下に腕を差し込みそのままぎゅっと抱き締めた。

「続きは、その····起きてから、ね?」
おずおずとそう伝えると、私を抱き締める腕の力が少し強くなって彼が喜んでいるのを感じる。

「もちろん水分補給とかもしてからだからね?」
なんて、照れ隠しでそう付け加えると、少し笑ったシャルが

「レモンも入れた冷たい水を持ってくるよ」

なんて優しく言ってくれる。
そのまま頭を撫でられていると、その心地よさからか瞼が凄く重たくてーー····



「おやすみ、リリス」

遠くで彼の声が聞こえた気がした。




“今まではおやすみばかりだったな”

なんて夢うつつで考える。
私に魔法が使えたのも驚いたけど、それ以外でも何度も彼に“おやすみ”を伝えてきて。

でもこれからは一緒におやすみを言い、おやすみの数だけ一緒におはようが言えるから。

微睡みながら、次のおはようは私から伝えようとそう考える。



“これからは幸せな夢を見てね、じゃなく、幸せな現実を貴方と共にーー····”


そう願いを込めて、私はそっと夢の中へ旅立ったのだった。
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