大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
瞬間、江陽が勢いよく立ち上がった。
「翔陽、どういう事だっ……!!??」
「どういうも、何も、そういう事ですよ、兄さん。――あなたが捨てた彼女を、見捨てられなかった。まあ、情が湧いたとでも言うんですかね」
「翔陽っ……!!!!」
ソファを越え、江陽は翔陽くんの元に駆け寄り、勢いよく胸倉を掴んだ。
「――テメェ」
私は、止めに入ろうとしたが――翔陽くんの視線に止められる。
何を言っても、うなづくだけ。
そう、約束したのだ。
――余計な事をすれば、彼の計画が台無しになる。
すると、その江陽の腕は、ゆっくりと下ろされる。
見やれば、着物姿の叶津さんが、困ったように微笑みながら手を添えていた。
瞬間、ヤツの表情が硬直する。
「江陽さん、暴力はいけませんわ。――ねえ、羽津紀さん?」
ニコリ、と、微笑まれ、視線を逸らしたくなるが――受けて立った。
「そう、ですね」
うなづくだけ。
それは――翔陽くん相手に限った事ではないだろう。
翔陽くんは、彼女の視線から私を守るように、スッと前に立ちはだかった。
「とにかく――今日は、ちょうど良い機会だから、紹介しようと思いまして」
「そうでしたの。――でも、翔陽さんも、情け深い方なんですのね」
叶津さんは、スッと姿勢を正すと、彼を見つめる。
――その意図を探るように。
「同情なんかじゃ、ありませんよ」
翔陽くんは、真剣な口調で、そう宣言する。
「――……羽津紀さんの、何でも一生懸命になれるところ、尊敬しています。そのために、僕ができる事なら、何でもしてあげたいと思えるくらいに――」
「し、翔陽くん」
私は、ウソとも本当とも取れる彼の言葉に戸惑う。
けれど、彼は、私の肩を抱き寄せ、顔を近づけて続けた。
「それに――ご自分の魅力に、まったく気づいてないところも、好きなんですよ?」
そう言って、チラリと江陽の方を見やった。
うつむいた私は、その表情を見る事はできない。
――けれど、かなり怒っているのは、空気でわかった。
「あら、当てられてしまいましたわね、江陽さん?」
叶津さんは、機嫌良くソファに座り直す。
けれど、江陽は、その場に立ち尽くしたままだ。
「――ホラ、江陽さん、早くいらっしゃって?」
「――……っ……」
そのヤツを――まるで、犬を躾けるような口調で呼ぶ彼女を、私は、唇を噛んでにらんでしまった。
「もう、二人とも、座ってちょうだい?江陽も、突っ立ってないの」
すると、キッチンにいた亜澄さんが、そう言いながら、お茶を持ってやって来た。
そして、私と翔陽くんが座ると、全員がソファに腰を下ろす。
「どうぞ、妙子さん」
「ありがとうございます。お義母様」
彼女は、微笑みながら受け取る。
――だが、亜澄さんの表情は、スッと消えたのだ。
そして――姿勢を正し、彼女は、凛とした声で言った。
「あなたに、そう呼ばれる覚えは無いんですが?」
「――……え?」
その言葉に、全員が硬直した。
「翔陽、どういう事だっ……!!??」
「どういうも、何も、そういう事ですよ、兄さん。――あなたが捨てた彼女を、見捨てられなかった。まあ、情が湧いたとでも言うんですかね」
「翔陽っ……!!!!」
ソファを越え、江陽は翔陽くんの元に駆け寄り、勢いよく胸倉を掴んだ。
「――テメェ」
私は、止めに入ろうとしたが――翔陽くんの視線に止められる。
何を言っても、うなづくだけ。
そう、約束したのだ。
――余計な事をすれば、彼の計画が台無しになる。
すると、その江陽の腕は、ゆっくりと下ろされる。
見やれば、着物姿の叶津さんが、困ったように微笑みながら手を添えていた。
瞬間、ヤツの表情が硬直する。
「江陽さん、暴力はいけませんわ。――ねえ、羽津紀さん?」
ニコリ、と、微笑まれ、視線を逸らしたくなるが――受けて立った。
「そう、ですね」
うなづくだけ。
それは――翔陽くん相手に限った事ではないだろう。
翔陽くんは、彼女の視線から私を守るように、スッと前に立ちはだかった。
「とにかく――今日は、ちょうど良い機会だから、紹介しようと思いまして」
「そうでしたの。――でも、翔陽さんも、情け深い方なんですのね」
叶津さんは、スッと姿勢を正すと、彼を見つめる。
――その意図を探るように。
「同情なんかじゃ、ありませんよ」
翔陽くんは、真剣な口調で、そう宣言する。
「――……羽津紀さんの、何でも一生懸命になれるところ、尊敬しています。そのために、僕ができる事なら、何でもしてあげたいと思えるくらいに――」
「し、翔陽くん」
私は、ウソとも本当とも取れる彼の言葉に戸惑う。
けれど、彼は、私の肩を抱き寄せ、顔を近づけて続けた。
「それに――ご自分の魅力に、まったく気づいてないところも、好きなんですよ?」
そう言って、チラリと江陽の方を見やった。
うつむいた私は、その表情を見る事はできない。
――けれど、かなり怒っているのは、空気でわかった。
「あら、当てられてしまいましたわね、江陽さん?」
叶津さんは、機嫌良くソファに座り直す。
けれど、江陽は、その場に立ち尽くしたままだ。
「――ホラ、江陽さん、早くいらっしゃって?」
「――……っ……」
そのヤツを――まるで、犬を躾けるような口調で呼ぶ彼女を、私は、唇を噛んでにらんでしまった。
「もう、二人とも、座ってちょうだい?江陽も、突っ立ってないの」
すると、キッチンにいた亜澄さんが、そう言いながら、お茶を持ってやって来た。
そして、私と翔陽くんが座ると、全員がソファに腰を下ろす。
「どうぞ、妙子さん」
「ありがとうございます。お義母様」
彼女は、微笑みながら受け取る。
――だが、亜澄さんの表情は、スッと消えたのだ。
そして――姿勢を正し、彼女は、凛とした声で言った。
「あなたに、そう呼ばれる覚えは無いんですが?」
「――……え?」
その言葉に、全員が硬直した。