大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
「――でもっ……この結婚が破談になったら――あなた方の立場も危ういという事なのでしょう?なら、江陽さんは、結婚するしかないのでは?」
叶津さんは、唇を噛むと、大きく息を吐き、顔を上げてそう言った。
その若さにそぐわない横柄な態度に、私は両手を握り締める。
すると、三ノ宮社長は、眉を下げた。
――ああ、やはり、もう――何もできないのだ。
そう、思ったのに。
「申し訳ありません。企業秘密なので、すべては申し上げられませんが――近いうちに、私は、サングループの社長を退く予定です」
「――……え?」
意味がわからないのか、叶津さんは、キョトンとして彼を見る。
対して、私は、息をのんだ。
――それは――。
「叔父の交換条件になりうるものを、すべて、潰すつもりでしてね」
「え」
三ノ宮社長は、ふと、手に持っていたスマホに目を落とし、亜澄さんを見やる。
すると、彼女はスッと立ち上がり、リビングを後にした。
そして、三ノ宮社長は叶津さんに向き直り、淡々と告げた。
「――申し訳ありませんが、この話は、無かった事にしていただきます。まだ、正式に婚約もしないうちで良かったですよ。お互い傷がつかずに済みます」
「えっ……な、何をっ……!そ、それは、そちらの都合で――江陽さんは……」
うろたえながらも、彼女は江陽を見やるが、ヤツの視線と交わる事は無かった。
――その視線の先は――私なのだから。
「――……っ……お、お祖父様っ……!そうっ……お祖父様が、黙ってませんわ!」
「妙子、見苦しい真似はやめなさい」
「――え」
不意に割って入った声に、私達は、一斉にそちらに向く。
亜澄さんに案内され、現れたのは――
「お祖父様!」
――叶津さんのお祖父さんだ。
そして、彼は、ゆっくりと彼女の元に向かうと、静かに言った。
「――叶津家の恥さらしになる気かね」
「……っ……」
すると、その圧に押された彼女は、泣きそうな表情でうつむいた。
ヒザの上で握り締めた両手は、震えている。
「儂は、お前が幸せになるのなら、と、話を持って行ったんだが――それは、他人様の恋路を壊せという意味では無い」
叶津氏は、三ノ宮社長を見やり、頭を下げた。
「――叶津さん」
「――孫娘が、申し訳無かった。……これ以上の醜態は晒させないので、安心してほしい」
私は、その言葉に反射で叫んだ。
「何が、醜態よっ……!!!」
そして、立ち上がると、驚いてこちらを見た叶津氏と三ノ宮社長の視線を、真正面から受ける。
――けれど、口をつぐむつもりは無い。
「――……叶津さん……いえ、妙子さんの気持ちを、そんな、ひどい言葉で片付けないでください!」
「う、羽津紀さん」
隣に座っている翔陽くんが、慌てて私を座らせようとするが、構わず続けた。
叶津さんは、唇を噛むと、大きく息を吐き、顔を上げてそう言った。
その若さにそぐわない横柄な態度に、私は両手を握り締める。
すると、三ノ宮社長は、眉を下げた。
――ああ、やはり、もう――何もできないのだ。
そう、思ったのに。
「申し訳ありません。企業秘密なので、すべては申し上げられませんが――近いうちに、私は、サングループの社長を退く予定です」
「――……え?」
意味がわからないのか、叶津さんは、キョトンとして彼を見る。
対して、私は、息をのんだ。
――それは――。
「叔父の交換条件になりうるものを、すべて、潰すつもりでしてね」
「え」
三ノ宮社長は、ふと、手に持っていたスマホに目を落とし、亜澄さんを見やる。
すると、彼女はスッと立ち上がり、リビングを後にした。
そして、三ノ宮社長は叶津さんに向き直り、淡々と告げた。
「――申し訳ありませんが、この話は、無かった事にしていただきます。まだ、正式に婚約もしないうちで良かったですよ。お互い傷がつかずに済みます」
「えっ……な、何をっ……!そ、それは、そちらの都合で――江陽さんは……」
うろたえながらも、彼女は江陽を見やるが、ヤツの視線と交わる事は無かった。
――その視線の先は――私なのだから。
「――……っ……お、お祖父様っ……!そうっ……お祖父様が、黙ってませんわ!」
「妙子、見苦しい真似はやめなさい」
「――え」
不意に割って入った声に、私達は、一斉にそちらに向く。
亜澄さんに案内され、現れたのは――
「お祖父様!」
――叶津さんのお祖父さんだ。
そして、彼は、ゆっくりと彼女の元に向かうと、静かに言った。
「――叶津家の恥さらしになる気かね」
「……っ……」
すると、その圧に押された彼女は、泣きそうな表情でうつむいた。
ヒザの上で握り締めた両手は、震えている。
「儂は、お前が幸せになるのなら、と、話を持って行ったんだが――それは、他人様の恋路を壊せという意味では無い」
叶津氏は、三ノ宮社長を見やり、頭を下げた。
「――叶津さん」
「――孫娘が、申し訳無かった。……これ以上の醜態は晒させないので、安心してほしい」
私は、その言葉に反射で叫んだ。
「何が、醜態よっ……!!!」
そして、立ち上がると、驚いてこちらを見た叶津氏と三ノ宮社長の視線を、真正面から受ける。
――けれど、口をつぐむつもりは無い。
「――……叶津さん……いえ、妙子さんの気持ちを、そんな、ひどい言葉で片付けないでください!」
「う、羽津紀さん」
隣に座っている翔陽くんが、慌てて私を座らせようとするが、構わず続けた。