大嫌い同士の大恋愛     ー結婚狂騒曲ー
 その後、アルコールの入った江陽と楠川さんは、更に報告会という名の二次会に向かって行った。
 車は代行を使い、彼の自宅まで行くそうだ。
 私は、聖と二人、腕を組みながらマンションへ帰る。

「――ゴメンねー、羽津紀。デートの邪魔しちゃってー」

 すると、部屋の鍵を開けながら、聖が眉を下げた。

「良いわよ、お互い様じゃないの。気にしないで。――それに……そろそろ、こういう機会も減ってくるだろうから……」

「……そう、だね」

 お互いに、幸せを掴んだのだから、喜ぶべきなのだろう。
 でも――この生活に終わりが来るのは、やはり、さみしい。

「……ね、羽津紀。やっぱり、今日、泊まって良い?」

「ええ、良いわよ」

 聖はニコリと微笑み、鍵をかけ直す。
 そして、私と一緒に部屋に入った。

 ――何があっても、お互い、親友なのは変わらない。

 ――けれど――それは、きっと、形を変えながら、続いていくものなのだろう……。



 しばらくは、平穏な日々が続くが――それは、日常生活だけで、仕事は相変わらずの忙しさだ。
 江陽は、三ノ宮社長の独立に向けて、内密に動き始めた。
 今のところ、ヤツに見張りはついていないようだが、どこで、どう探られているかわからないので、ひとまず、実家でできるところから始めているという。
 それでも、週末になれば、時間を取ってデートしながら、結婚までのいろいろを進めていた。
 今日は、式場のカタログを見ながら、ホテルで一泊。
 ここも、結婚式を扱っていて、候補の一つではあった。

 ――でも……やっぱり、そのかかる費用などに怖気づいてしまうのが、私なのだ。

 お互い、肌を寄せ合ってうつらうつらとしている中、江陽は、私を抱く手に力を込めた。
「……なあ、羽津紀。……やっぱり、式とかやりたくないか?」
「……江陽……?」
 不意の問いかけに、私は、顔を上げた。
 先ほどまでの熱は、まだ残っていて――その視線に、身体が熱くなってしまう。
「――……やりたくない、という訳じゃない、けど……必要なのかしら、って……」
「……また、お前は……」
 江陽は、苦笑いで抱いた私の髪を撫で回す。
「考えすぎるな。――やりたいか、やりたくないかだ」
「……ええ、まあ……そうなんだけど……」
 自分自身、ここまで男嫌いできたのだ。
 そもそも、結婚というものに憧れなど皆無で――江陽と付き合い始め、年齢を考え、ようやくそういうものを想像し始めたくらいだったのだ。
「――あのよ、式はいつでもできるから――さ」
「え?」
 すると、ヤツは、私を、グイ、と、抱き寄せると力を込めた。
「江陽?」

「――……もう、先に、入籍だけでも済まさねぇか……?」

「え」

 私が目を丸くすると、ヤツは、そのまま続けた。
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