大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
28.オレ達なりの夫婦の形
「――……ねえ、江陽。……もしも……結婚した後、私が仕事で、ずっと帰って来られなかったら……どうする?」
ベッドの中、江陽の腕枕に沈んでいた私は、ヤツにそう問いかけると、目を丸くして返された。
「……は?……何だ、そりゃあ……?」
そう言うと、ヤツはそっと腕を外し、起き上がった。
それにつられ、かけていた布団がズレてしまい、私は慌てて引き寄せる。
「……た、たとえば、よ」
「――……たとえ話になってねぇよ。……仕事、変わるのか」
私は、口ごもり、視線を逸らした。
――顔に出るようになった。
そう言われても、あまり実感は無かったが――コイツに見抜かれるようでは、もう、認めざるを得ない。
答えを待っている江陽を見上げると、私は、言葉少なに伝える。
「……変わる、っていうか……私にやってほしい、って……」
今、コイツは同じ会社ではないのだ。
一応、守秘義務というものもある。
けれど――夫婦になる以上、わかってもらわなければいけないのだから、言える限界まで言うつもりだ。
「……そうか。……スゲェな、羽津紀」
「え?」
「わざわざ指名されてんだろ?なら、受けろよ」
「――え、ち、ちょっと、意味わかってるの、アンタ⁉」
――ずっと、家を空けないとなのよ?
さすがに、それ、結婚する意味あるの?!
すると、江陽は、あっさりとうなづいた。
「でも――一生離れてる訳じゃねぇ。お前が帰る場所は、オレのところだろ?」
「……江陽」
まさか、コイツがそんな事を言うなんて。
ヤツは、私を引き起こすと、乱れていた髪を撫でつける。
それに反射的に目を閉じると、軽くキスされた。
「――まあ、オレだって、親父の補佐になる予定だから、仕事で家を空けるのは、日常茶飯事かもしれねぇし」
「……そう、なの……?」
「ああ。そりゃあ……家に帰ったら羽津紀にいてほしいとは思うけど……それを強制したら、お前、即離婚だろ?」
――笑うに笑えない事を言うな。
私は、眉を寄せてヤツを見上げる。
「江陽は――……それで良いの?」
お互い、すれ違うばかりの生活になるかもしれない。――なら、今のままでも、同じではないか。
けれど、ヤツは、苦笑いで肩をすくめた。
まるで、私の考える事など、お見通しだというように。
「良いとか、悪いとかじゃ無ぇよ。お互い、やりたい事やって――同じ家に帰る。……これから、どうなるかは、わからねぇけど……今は、それで良い」
「――江陽」
その言葉に、目を丸くする。
もう、昔の江陽ではないのだ。
私の後を四六時中ついて来ては、わがままを言っていた、子供の頃のアイツとは――。
――そして――それが、私を想ってくれているという事、なのだろう。
ヤツは、私を抱き寄せると、優しく髪を撫でる。
「――まあ、それが――オレ達なりの夫婦の形ってコトだ」
私は、口元を上げる江陽を見上げ、苦笑いを浮かべた。
「……まあ、予定は未定よ。詳しい事は、まだ、全然決まってないしね」
「何だよ。マジで考えたのに」
少々機嫌を損ねたらしい。
ふてくされた江陽に、私は口づけた。
「……ごめんなさい、機嫌直して?」
そして、見上げれば、ヤツは、ハア、と、大きくため息。
「だから――もう、手に負えねぇな、マジで!」
「は⁉」
「煽るな、って、ずっと言ってるだろうが、この天然!」
「何なのよ、こないだから!無自覚だの、鈍感だの、次から次へと!」
「事実だろうが!」
「失礼ね!!」
「だから、男がカンタンに落ちるんだろうが!」
「人を落とし穴みたいに言わないでよ!!」
瞬間、江陽はツボに入ったようで、顔を伏せて笑い出した。
「お、落とし穴って……まあ、最初に落ちたオレが言える事でもねぇけどよ」
「……褒めていない事だけは、わかったわ」
「褒めてるんだよ。――オレの奥さんは、魅力的だってな」
「――……っ……!」
――アンタも、急に甘い事を言うの、やめてよね!
結局、終わらない言い合いは、江陽のキスで強制終了させられた――。
ベッドの中、江陽の腕枕に沈んでいた私は、ヤツにそう問いかけると、目を丸くして返された。
「……は?……何だ、そりゃあ……?」
そう言うと、ヤツはそっと腕を外し、起き上がった。
それにつられ、かけていた布団がズレてしまい、私は慌てて引き寄せる。
「……た、たとえば、よ」
「――……たとえ話になってねぇよ。……仕事、変わるのか」
私は、口ごもり、視線を逸らした。
――顔に出るようになった。
そう言われても、あまり実感は無かったが――コイツに見抜かれるようでは、もう、認めざるを得ない。
答えを待っている江陽を見上げると、私は、言葉少なに伝える。
「……変わる、っていうか……私にやってほしい、って……」
今、コイツは同じ会社ではないのだ。
一応、守秘義務というものもある。
けれど――夫婦になる以上、わかってもらわなければいけないのだから、言える限界まで言うつもりだ。
「……そうか。……スゲェな、羽津紀」
「え?」
「わざわざ指名されてんだろ?なら、受けろよ」
「――え、ち、ちょっと、意味わかってるの、アンタ⁉」
――ずっと、家を空けないとなのよ?
さすがに、それ、結婚する意味あるの?!
すると、江陽は、あっさりとうなづいた。
「でも――一生離れてる訳じゃねぇ。お前が帰る場所は、オレのところだろ?」
「……江陽」
まさか、コイツがそんな事を言うなんて。
ヤツは、私を引き起こすと、乱れていた髪を撫でつける。
それに反射的に目を閉じると、軽くキスされた。
「――まあ、オレだって、親父の補佐になる予定だから、仕事で家を空けるのは、日常茶飯事かもしれねぇし」
「……そう、なの……?」
「ああ。そりゃあ……家に帰ったら羽津紀にいてほしいとは思うけど……それを強制したら、お前、即離婚だろ?」
――笑うに笑えない事を言うな。
私は、眉を寄せてヤツを見上げる。
「江陽は――……それで良いの?」
お互い、すれ違うばかりの生活になるかもしれない。――なら、今のままでも、同じではないか。
けれど、ヤツは、苦笑いで肩をすくめた。
まるで、私の考える事など、お見通しだというように。
「良いとか、悪いとかじゃ無ぇよ。お互い、やりたい事やって――同じ家に帰る。……これから、どうなるかは、わからねぇけど……今は、それで良い」
「――江陽」
その言葉に、目を丸くする。
もう、昔の江陽ではないのだ。
私の後を四六時中ついて来ては、わがままを言っていた、子供の頃のアイツとは――。
――そして――それが、私を想ってくれているという事、なのだろう。
ヤツは、私を抱き寄せると、優しく髪を撫でる。
「――まあ、それが――オレ達なりの夫婦の形ってコトだ」
私は、口元を上げる江陽を見上げ、苦笑いを浮かべた。
「……まあ、予定は未定よ。詳しい事は、まだ、全然決まってないしね」
「何だよ。マジで考えたのに」
少々機嫌を損ねたらしい。
ふてくされた江陽に、私は口づけた。
「……ごめんなさい、機嫌直して?」
そして、見上げれば、ヤツは、ハア、と、大きくため息。
「だから――もう、手に負えねぇな、マジで!」
「は⁉」
「煽るな、って、ずっと言ってるだろうが、この天然!」
「何なのよ、こないだから!無自覚だの、鈍感だの、次から次へと!」
「事実だろうが!」
「失礼ね!!」
「だから、男がカンタンに落ちるんだろうが!」
「人を落とし穴みたいに言わないでよ!!」
瞬間、江陽はツボに入ったようで、顔を伏せて笑い出した。
「お、落とし穴って……まあ、最初に落ちたオレが言える事でもねぇけどよ」
「……褒めていない事だけは、わかったわ」
「褒めてるんだよ。――オレの奥さんは、魅力的だってな」
「――……っ……!」
――アンタも、急に甘い事を言うの、やめてよね!
結局、終わらない言い合いは、江陽のキスで強制終了させられた――。