大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
「……この先――どうする気?」
「え?」
すると、不意にそう尋ねられ、顔を上げた。
目の前には、揺るがない彼の瞳。
逃げる事は――許さない。
そう、言われているようで。
私は、ゆっくりと口を開いた。
「――……シングルマザーになります」
「――……え……」
「……たぶん……江陽にとっては――不利になってしまうから……」
「ど、どういう意味?」
私の言葉に驚いた片桐さんは、身を乗り出して問いかけた。
その答えは――もう、何百回と、自分に言い聞かせていたもの。
「……アイツは――叶津さんとの結婚話が消えた今、まだ、大叔父さんの監視下にあるでしょう。そんな時に、子供ができたなんて知られたら――私との結婚なんてもってのほか、自分の有利になる相手と結婚して、サングループを継げ――そう言われるのは、簡単に考えられますし――」
「で、でも、もう、結婚するつもりだったんだよね?」
片桐さんは、戸惑いながらも、そう尋ねる。
私は、うなづくが、口元を自嘲気味に上げた。
「それでも――大叔父さんの中では、私達は、まるで赤の他人なんです。その子供となれば、今後、サングループの不利になると思われるのは、予想できます。――それに――」
震える手を握り締め、大きく息を吐く。
「――……江陽の子供なら――逆に、自分の手駒にできる。――最悪――奪われる可能性だって、考えられますから……」
我ながら――なんて、想像力だとは思う。
でも――。
「――……だから――アイツの枷には、なりたくないんです……」
これから、三ノ宮社長が独立すれば、江陽だって、その右腕として働くはずだろう。
そんな時に、混乱させるような真似はしたくない。
「……そう……」
片桐さんは、納得しきれないような表情を見せたが――それは、一瞬だった。
彼は、私の手を取り――キツく握る。
「か、片桐さん……?」
「――……だったら――僕が、その子の父親になるよ」
「――え」
また、何か裏があるのでは――そう思ったが、彼の表情は真剣そのものだった。
「僕は、キミを、あきらめきれない。お腹の子の父親になる覚悟は、できるつもりだよ」
「――……っ……」
私は、その言葉に息をのむ。
――……でも――……。
浮かんできた涙をそのままに、彼の手を、そっと外した。
「名木沢さん」
「――……ありがとうございます……。――……でも――……この子は、私と江陽の子供です。……その事実があれば、私は、一人で大丈夫です――……」
そう告げると、無理矢理に笑う。
泣き笑い。
どんなに辛くても、苦しくても――片桐さんの想いは、受け取れない。
――これが、私の選択なのだから。
「――……そう……。……そう、だね。――……それが、キミだものね……」
彼は、少しの間黙り込むが、そう、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「ハイ。――……これが、私です」
私は、そう言ってうなづく。
そして、お互いに、悲しみをこらえながら微笑み合った。
「――……それじゃあ、今日のところは……」
そう言って片桐さんが、腰を上げようとした、その時――。
『サングループ社長、三ノ宮陽平氏、退任を発表』
不意に飛び込んできたアナウンサーの言葉に、私は、反射的に視線を向けた。
「え?」
すると、不意にそう尋ねられ、顔を上げた。
目の前には、揺るがない彼の瞳。
逃げる事は――許さない。
そう、言われているようで。
私は、ゆっくりと口を開いた。
「――……シングルマザーになります」
「――……え……」
「……たぶん……江陽にとっては――不利になってしまうから……」
「ど、どういう意味?」
私の言葉に驚いた片桐さんは、身を乗り出して問いかけた。
その答えは――もう、何百回と、自分に言い聞かせていたもの。
「……アイツは――叶津さんとの結婚話が消えた今、まだ、大叔父さんの監視下にあるでしょう。そんな時に、子供ができたなんて知られたら――私との結婚なんてもってのほか、自分の有利になる相手と結婚して、サングループを継げ――そう言われるのは、簡単に考えられますし――」
「で、でも、もう、結婚するつもりだったんだよね?」
片桐さんは、戸惑いながらも、そう尋ねる。
私は、うなづくが、口元を自嘲気味に上げた。
「それでも――大叔父さんの中では、私達は、まるで赤の他人なんです。その子供となれば、今後、サングループの不利になると思われるのは、予想できます。――それに――」
震える手を握り締め、大きく息を吐く。
「――……江陽の子供なら――逆に、自分の手駒にできる。――最悪――奪われる可能性だって、考えられますから……」
我ながら――なんて、想像力だとは思う。
でも――。
「――……だから――アイツの枷には、なりたくないんです……」
これから、三ノ宮社長が独立すれば、江陽だって、その右腕として働くはずだろう。
そんな時に、混乱させるような真似はしたくない。
「……そう……」
片桐さんは、納得しきれないような表情を見せたが――それは、一瞬だった。
彼は、私の手を取り――キツく握る。
「か、片桐さん……?」
「――……だったら――僕が、その子の父親になるよ」
「――え」
また、何か裏があるのでは――そう思ったが、彼の表情は真剣そのものだった。
「僕は、キミを、あきらめきれない。お腹の子の父親になる覚悟は、できるつもりだよ」
「――……っ……」
私は、その言葉に息をのむ。
――……でも――……。
浮かんできた涙をそのままに、彼の手を、そっと外した。
「名木沢さん」
「――……ありがとうございます……。――……でも――……この子は、私と江陽の子供です。……その事実があれば、私は、一人で大丈夫です――……」
そう告げると、無理矢理に笑う。
泣き笑い。
どんなに辛くても、苦しくても――片桐さんの想いは、受け取れない。
――これが、私の選択なのだから。
「――……そう……。……そう、だね。――……それが、キミだものね……」
彼は、少しの間黙り込むが、そう、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「ハイ。――……これが、私です」
私は、そう言ってうなづく。
そして、お互いに、悲しみをこらえながら微笑み合った。
「――……それじゃあ、今日のところは……」
そう言って片桐さんが、腰を上げようとした、その時――。
『サングループ社長、三ノ宮陽平氏、退任を発表』
不意に飛び込んできたアナウンサーの言葉に、私は、反射的に視線を向けた。