大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
翌朝、大して眠れなかった頭を振りながら、いつものルーティンをこなし、何も無かったように聖を迎えに行く。
インターフォンを鳴らせば、昨日とは打って変わって、いつもの美しい聖が現われた。
「おっはよー……昨日は、爆睡しちゃった」
「そう、でも、スッキリしたみたいね」
私が苦笑いで彼女を見上げれば、困ったように微笑まれる。
それだけでも、眼福。
荒みかけていた心が、軽く洗われた。
「あのねー、想兄ちゃんが、ちゃんと話聞いてくれるって言ったの」
「え」
「だから、羽津紀。今週末、一緒にいてくれない?」
「――え、あ……ええ……わかったわ」
一瞬、ためらってしまうが、約束してしまったのだ。
早いところ、想真さんに引き下がってもらわねば。
「ありがとー、羽津紀、大好き!」
聖は、私に抱き着き、笑顔を見せる。
この表情が曇るくらいなら――私の事は二の次だ。
「ハイハイ、私もよ」
そう返せば、聖は、上機嫌で私の腕に絡みつき、エレベーターまで歩いて行く。
――こういう事をするから、あらぬ疑いをかけられるのかもしれないわね……。
以前、江陽が私と聖の仲を疑った事を思い出し、苦笑いする。
「そう言えば、羽津紀、昨日、江陽クンって出勤してた?」
「え?」
「何か、昨日、総務の方で、江陽クンが辞めるとか何とかってウワサになっててさー」
瞬間、息をのんだ私を、聖は見逃さない。
彼女は、私から離れ、伺うようにのぞき込んだ。
「……何か、あったの?」
「……聖」
私は、顔を上げ、彼女を見やる。
けれど、すぐに視線を下げてしまった。
「……ごめん、なさい……」
「――言えない?」
その問いかけには、首を振って答える。
「そういう訳じゃなくて……まだ、説明できるほど、理解が追い付いていないというか……」
「……そっか」
聖はうなづくと、体勢を戻した。
そして、その長身をスラリと伸ばし、私に言った。
「でも、何があっても、アタシは羽津紀の味方だからね」
「……ええ……ありがとう」
うなづいて返すと、エレベーターの到着音が響き渡った。
二人でそれに乗り込むと、いつもの日常に向かう。
――それが、いつもの、と、言えるのが、幸せなのだという事は、もう、嫌というほどにわかっている。
インターフォンを鳴らせば、昨日とは打って変わって、いつもの美しい聖が現われた。
「おっはよー……昨日は、爆睡しちゃった」
「そう、でも、スッキリしたみたいね」
私が苦笑いで彼女を見上げれば、困ったように微笑まれる。
それだけでも、眼福。
荒みかけていた心が、軽く洗われた。
「あのねー、想兄ちゃんが、ちゃんと話聞いてくれるって言ったの」
「え」
「だから、羽津紀。今週末、一緒にいてくれない?」
「――え、あ……ええ……わかったわ」
一瞬、ためらってしまうが、約束してしまったのだ。
早いところ、想真さんに引き下がってもらわねば。
「ありがとー、羽津紀、大好き!」
聖は、私に抱き着き、笑顔を見せる。
この表情が曇るくらいなら――私の事は二の次だ。
「ハイハイ、私もよ」
そう返せば、聖は、上機嫌で私の腕に絡みつき、エレベーターまで歩いて行く。
――こういう事をするから、あらぬ疑いをかけられるのかもしれないわね……。
以前、江陽が私と聖の仲を疑った事を思い出し、苦笑いする。
「そう言えば、羽津紀、昨日、江陽クンって出勤してた?」
「え?」
「何か、昨日、総務の方で、江陽クンが辞めるとか何とかってウワサになっててさー」
瞬間、息をのんだ私を、聖は見逃さない。
彼女は、私から離れ、伺うようにのぞき込んだ。
「……何か、あったの?」
「……聖」
私は、顔を上げ、彼女を見やる。
けれど、すぐに視線を下げてしまった。
「……ごめん、なさい……」
「――言えない?」
その問いかけには、首を振って答える。
「そういう訳じゃなくて……まだ、説明できるほど、理解が追い付いていないというか……」
「……そっか」
聖はうなづくと、体勢を戻した。
そして、その長身をスラリと伸ばし、私に言った。
「でも、何があっても、アタシは羽津紀の味方だからね」
「……ええ……ありがとう」
うなづいて返すと、エレベーターの到着音が響き渡った。
二人でそれに乗り込むと、いつもの日常に向かう。
――それが、いつもの、と、言えるのが、幸せなのだという事は、もう、嫌というほどにわかっている。