大嫌い同士の大恋愛 ー結婚狂騒曲ー
翌日、私は仕事を早々に片付け、ショッピングモールへと走った。
――何はともあれ、服よ、服!
今回ばかりは、聖には、頼れない。
理由を言えない以上、巻き込む訳にはいかないのだから。
そして、どうにか店員に勧められるまま、ヒラヒラの婚活ワンピースを購入し、その帰り途中、ジュエリーショップをのぞいた。
いらっしゃいませ、と、明るい声に迎えられるが、下見とだけ告げ、一人で見て回る。
今まで、こんな高価な宝石を手に取った事など無かったので、怖気づいてしまう。
江陽と行ったところは、もっと、ハイレベルな店だった。
置いてある値札のコンマの数に、逃げ出したくなったものだ。
ここくらいなら――そうは思うが、いざ、買うとなると、デザインだのなんだので迷いに迷う。
――ああ、下見って言っておいて良かった。
結局、そのまま、店から逃げるように出ると、マンションへ帰ったのだった。
そして――決戦当日。
そのくらいの気合いで、十時の待ち合わせに間に合うように、私は、江陽の家の最寄り駅に降り立った。
おそらく、家までは、タクシーで十五分くらいだろう。
心もとない服装と慣れないヒールで、ゆっくりと階段を下りて、改札を通る。
「羽津紀さん!」
すると、周囲が振り返るほどの明るい声で呼ばれ、ギクリ、と、肩をこわばらせた。
「――し、翔陽くん……」
彼は、私の元へと駆け寄って来ると、上から下まで眺めて、ニコリ、と、笑った。
「――うん、この前以上に似合ってますね」
「へ?」
急に言われたお世辞に、頭がフリーズした。
すると、翔陽くんは、少しだけムッとしながらも、私の手を取る。
「――せっかく褒めてるんだから、素直に受けておいてくださいよ」
「……べ、別に、お世辞なん「じゃ、ありません」
被せるように否定され、その場で足が止まる。
「……え???」
彼は、少し手に力を込め、私を引きずるように引き寄せた。
「し、翔陽、くん?」
「――……この前も、今も――……お綺麗、です」
「……え、な、何よ、急に……」
至近距離で小声で言われ、さすがに赤くなってしまう。
翔陽くんは、ふてくされたように私から離れると、そっぽを向いた。
「……婚約者、なんですから……慣れてください。いろいろと突っ込まれたら、面倒なんですから」
「――あ、ああ、そうね。ごめんなさい」
そうだ。そういう設定だったんだ。
私が江陽に会うための――最終手段。
自分からお願いしておいて、忘れてしまうとは。
――でも、弟だけあって、どことなく江陽と重なってしまうのは、仕方ない事だろう。
「……まあ、良いですよ。それが、あなたですから……あきらめる事にします」
「……何か、いちいち引っかかる言い方するわね」
「別に、本当の事ですし――全部が全部、悪い訳じゃないですよ。そんなところも、今は気に入ってますから」
「え、あ……そう……」
何だか、いちいち突っかかってくる割には、急に、ウソか本当かわからないような甘い事を言う。
――……コレは、三ノ宮家の血筋か。
江陽と付き合っていた頃を思い出し、ほんの少し――胸は痛んだ。
――何はともあれ、服よ、服!
今回ばかりは、聖には、頼れない。
理由を言えない以上、巻き込む訳にはいかないのだから。
そして、どうにか店員に勧められるまま、ヒラヒラの婚活ワンピースを購入し、その帰り途中、ジュエリーショップをのぞいた。
いらっしゃいませ、と、明るい声に迎えられるが、下見とだけ告げ、一人で見て回る。
今まで、こんな高価な宝石を手に取った事など無かったので、怖気づいてしまう。
江陽と行ったところは、もっと、ハイレベルな店だった。
置いてある値札のコンマの数に、逃げ出したくなったものだ。
ここくらいなら――そうは思うが、いざ、買うとなると、デザインだのなんだので迷いに迷う。
――ああ、下見って言っておいて良かった。
結局、そのまま、店から逃げるように出ると、マンションへ帰ったのだった。
そして――決戦当日。
そのくらいの気合いで、十時の待ち合わせに間に合うように、私は、江陽の家の最寄り駅に降り立った。
おそらく、家までは、タクシーで十五分くらいだろう。
心もとない服装と慣れないヒールで、ゆっくりと階段を下りて、改札を通る。
「羽津紀さん!」
すると、周囲が振り返るほどの明るい声で呼ばれ、ギクリ、と、肩をこわばらせた。
「――し、翔陽くん……」
彼は、私の元へと駆け寄って来ると、上から下まで眺めて、ニコリ、と、笑った。
「――うん、この前以上に似合ってますね」
「へ?」
急に言われたお世辞に、頭がフリーズした。
すると、翔陽くんは、少しだけムッとしながらも、私の手を取る。
「――せっかく褒めてるんだから、素直に受けておいてくださいよ」
「……べ、別に、お世辞なん「じゃ、ありません」
被せるように否定され、その場で足が止まる。
「……え???」
彼は、少し手に力を込め、私を引きずるように引き寄せた。
「し、翔陽、くん?」
「――……この前も、今も――……お綺麗、です」
「……え、な、何よ、急に……」
至近距離で小声で言われ、さすがに赤くなってしまう。
翔陽くんは、ふてくされたように私から離れると、そっぽを向いた。
「……婚約者、なんですから……慣れてください。いろいろと突っ込まれたら、面倒なんですから」
「――あ、ああ、そうね。ごめんなさい」
そうだ。そういう設定だったんだ。
私が江陽に会うための――最終手段。
自分からお願いしておいて、忘れてしまうとは。
――でも、弟だけあって、どことなく江陽と重なってしまうのは、仕方ない事だろう。
「……まあ、良いですよ。それが、あなたですから……あきらめる事にします」
「……何か、いちいち引っかかる言い方するわね」
「別に、本当の事ですし――全部が全部、悪い訳じゃないですよ。そんなところも、今は気に入ってますから」
「え、あ……そう……」
何だか、いちいち突っかかってくる割には、急に、ウソか本当かわからないような甘い事を言う。
――……コレは、三ノ宮家の血筋か。
江陽と付き合っていた頃を思い出し、ほんの少し――胸は痛んだ。