虐げられてきたネガティブ令嬢は、嫁ぎ先の敵国で何故か溺愛されています~ネガティブな私がちょっぴりポジティブになるまで~
目が覚めると辺りはもうすでに明るく、陽が高そうだった。
どうやら丸一日眠ってしまっていたらしい。
酷かった頭痛はすっかり消え去り、なんだか頭もスッキリしていて清々しい気分だった。
ん~っと大きく伸びをしたとき、ちょうど部屋がノックされリビアが入ってきた。
「クラリス様、お目覚めでしたか」
「あ、ちょ、ちょうど今起きたところで……」
「お加減はいかがでしょうか? 昨日よりはとても顔色が良いように見受けられます」
「ありがとうございます……、お陰様でもうすっかり元気です……」
「良かったです!」と笑顔を浮かべるリビアは、今日も相変わらず聖母のように優しい。
「しばらくはゆっくり休むようにと、レオナルド殿下から仰せつかっております」
「そ、そうですか……」
レオナルド殿下、とリビアの口からお名前を聞いただけで、何故か私の心臓がドキリと跳ねた。
「えっと、レオナルド殿下は、本日はどちらに……?」
「城内にいらっしゃいますよ~」
「そ、そう……ですか」
なんとなくレオナルド殿下にお会いするのが気恥ずかしかった。
私に好意を寄せ、本当に妻に迎えるなど正気の沙汰ではない。今までそんな男性に会ったことのない私は、殿下とどう接して良いのかよくわからなかった。
本当の本当に?
本当に私が、このルプス帝国の第一王子であるレオナルド殿下と結婚を?
未だに信じられない。どうしてもまだ冗談なのではないかと疑ってしまう。
処刑されるどころか、愛の告白をされ、そして私が普通の人であるかのような、幸せな婚姻生活が目の前に迫っている。
そんなこと急に言われても、信じろという方が難しい。
「本当に、私なんかで……」
「クラリス様? どうかされましたか?」
私の呟きに首を傾げるリビア。
「あ、ええと……、私なんかが、本当にレオナルド殿下の妻になってしまっても良いものかと……」
尻つぼみになりながらもごもごと伝えると、リビアは驚いたように目を見開いた。
「なにを仰っているのですか! レオナルド殿下にクラリス王女! とてもお似合いのお二人ではないですか!」
「そう、でしょうか……。小さな隣国の第三王女であり、なんの取柄もない私なんかが、大国であるルプスの第一王子、軍事部隊隊長のレオナルド殿下と、釣り合うとは到底思えないのですが……」
言っていて悲しくなるけれど、これは紛れもない事実である。
私と殿下では、釣り合わない。
きっと誰しもがそう思うに違いないし、それによってルプスの評判が落ちるようなことになったら、きっと今度こそ処刑されるに違いない……。