虐げられてきたネガティブ令嬢は、嫁ぎ先の敵国で何故か溺愛されています~ネガティブな私がちょっぴりポジティブになるまで~
そんな風に虐げられながらネガティブに生きているうち、私は十七歳になっていた。
「今朝のスープ、作ったのはだあれ?」
毎食恒例とも言える犯人探しが始まる。
私の隣に立っていた侍女が、小さく手を挙げる。
「不味すぎるんですけど? あたし、かぼちゃのスープが嫌いって言ったわよね?」
「も、申し訳ございません!」と勢いよく頭を下げる侍女に対して、お義姉様達は冷ややかな視線を向ける。
「このお肉を調理したのはクラリス?」
「あ、はい……」
「まぁまぁの出来だけれど、あんた料理の腕が落ちたんじゃない?」
「クラリスから料理を取ったら何が残るって言うの? あんたが私達の義妹じゃなかったら、とっくに追い出しているところよ」
マリア姉様とユリア姉様の怒涛の批判にも、慣れ始めている自分がいることに嫌気が差した。
どれだけ頑張って作ってもどうせ文句を言われるのだ。例え美味しかったとしても、この二人ならどうにか粗を探して文句を言うに違いない。
ユリア姉様がうんざりしたようにフォークを置いた。
「とにかく、そこの侍女はクビね。出て行って」
「そんな……!! 私は以前お作りした料理でユリア様にも美味しいと言って頂いたことがあって……っ」
「だから何!?」
ユリア姉様の金切り声が部屋中に響き渡る。
「私が出て行けって言ったんだから、出て行きなさいよ!!」
侍女は放心したように力なく部屋を出て行く。
「ユ、ユリア姉様、その、そこまで、言わなくても……」
「何!? なんか文句あるわけ!?」
「あ、……いえ……」
ユリア姉様は今にも私に噛みつきそうな形相で睨み付けてくる。
「あんただって本当はいらない子なんだからね!? お父様の慈悲に感謝しなさいよ!!」
……いらない、子……。
ユリア姉様の言葉に、マリア姉様もお義母様も馬鹿にしたような薄笑いを浮かべた。
咄嗟にお父様の顔を見たけれど、特に気にした様子もなく黙々と食べ続けている。
期待なんてこれっぽっちもしていなかったけれど、やはりお父様は私を気に掛けてはくれなかった。
「もっと一流のシェフを呼んでよ、お父様」
マリア姉様が甘ったるい声を出す。
「そうだな。そうするとしよう」
お父様はマリア姉様の言葉に適当に頷き返す。
一流のシェフだって、結局マリア姉様とユリア姉様が追い出すくせに……。
以前いたシェフ達も皆、簡単にクビを言い渡されていた。きっと今回も同じだろう。
もうきっとずっとこのままなのだ、この城は。
お義母様とお姉様達の言いなり。
私の大好きなアレス国も、家族も、いなくなってしまったのだ。