仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
「送っていくから待ってろ!」
霧島社長はベッドから起き上がり私に声を掛けた。
「送って頂かなくても大丈夫です。これ以上のご迷惑はかけられません。」
すると彼はふっと笑った。
「これは社長命令だ。今から珈琲を淹れるから飲んでいけ。それにあの男がマンションに荷物を取りに来るかも知れないから送っていくぞ。いいな!」
社長命令と言われると断りずらい。
それに考えてみたら確かに蓮が荷物を取りに来てもおかしくはない。
霧島社長はアンティーク風の珈琲ミルに豆を入れると、レバーをクルクルと回しながら微笑んだ。
「手間をかけた分だけ珈琲が美味くなるんだ。期待しろよ。」
社長命令だと言われているのに、コーヒーを淹れてもらうなんて、なぜか複雑な気分だ。
ペーパーに粉を平らにして、そこへ丁寧にお湯を注いでいく。
綺麗なブラウンのコーヒーが美味しそうな香りを立てる。
「さぁ、どうぞ召し上がれ。」