仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

高柳は秘書課の奥にある社長室の前で止まり、部屋をノックした。

「社長、七海さんが異動の挨拶に来ていますよ。」

すると部屋の中から霧島社長の声が聞こえて来た。

「どうぞ入ってください。」

秘書の高柳の後に続き私は社長室へと入った。
すると当然ではあるが、正面の大きなデスクには霧島社長が座っていた。

沙羅は慌てて社長に挨拶をした。

「な…ななみ…七海沙羅と申します…あの…よろしくお願いします。」

社長室でみる霧島社長の凛とした存在感に圧倒される。
極度の緊張で声が震えて言葉がすぐに出てこない。

すると社長は、沙羅を見て堪えきれなかったようにケラケラと笑い始めるではないか。

これには秘書の高柳も驚いた表情を見せた。
霧島社長は口元を押さえて笑いを堪えるようにして話し始めた。

「七海さん…ごめんごめん。君が余りにも改まった表情で緊張しているから…この前のように自然でいいよ…僕たちは同じベッドで寝た仲じゃないか。」

その言葉を聞いて、さらに驚いた高柳が大きな声を出した。

「社長…いいや、北斗!何を言っているんだ。七海さんとはどんな知り合いなんだ!」

社長の発言にも驚いたが、高柳さんが社長を北斗と名前で呼んだことに私は驚いて目を大きくした。
社長が高柳に向かって声を出した。

「高柳!急に俺を北斗と呼ぶなよ。七海さんが驚いているじゃないか。」

すると高柳は私に向かって説明を始める。

「霧島社長は僕と大学時代からの腐れ縁なんだ。北斗に騙されてこの会社に連れてこられて、秘書としてこき使われているんだ。…でも、同じベッドとは意味深だな…君は北斗と付き合っているのかい?」

私は慌てて高柳さんへ弁解を始める。

「ち…ち…違うんです…これには訳がありまして…社長は振られた私を助けてくれたんです。恩人なんです。」

それを聞いた高柳が目を細めた。


「へぇ~北斗が人助けとはね…どういう風の吹き回しなのかねぇ~」

社長は高柳を睨みつけた。

「高柳うるさいぞ!俺はこれから来客だ。お前は来なくていいから七海さんにいろいろ教えてやってくれ!」


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