仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
霧島社長は、私と高柳を部屋に残して出て行ってしまった。
すると、高柳が私の方を向いた。
「七海さん、もう気づいているとは思うけど…秘書課の女性は君の事を良く思っていない。社長が君を指名したことが面白くないのだろう。かなり風当たりは強いが、大丈夫かい?」
「…はい。私は霧島社長に恩返しをしなくてはならないのです。お恥ずかしい話ですが、私の恋人が他の女性と結婚式を挙げたのです。その時に助けてくださったのが霧島社長なんです。」
高柳は私の話に驚きを隠せず、一瞬無言になり言葉を詰まらせた。
「なんだって!恋人が他の女性と結婚?どうしてそんなことになったんだ。」
「私がばかだったんです。結婚式まで何も気づかなかったんです。」
高柳は、私の顔をじっと見つめた。
「それにしても…北斗がそこまでするとはね…今まで女性は面倒だと言ってなるべく係わらないようにしていたんだ。…ほらあのルックスだろ、昔から女性が嫌というほど近づいて来るからな。」
高柳が学生時代の話をしたことで、沙羅は思い出したことがあった。
「あの…もしかしたら、山本大介さんをご存じでしょうか。…小料理屋の大将をされている…。」
「山本大介って…あの大介か?俺達と同期入社の山本大介か?」
高柳は更に驚いたようで、目を大きく見開いた。
「まさか…北斗は七海さんを大介の店にも連れて行ったのか?」