仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
沙羅が秘書課を通ると、挨拶の時と変わらず女性たちの冷ややかな視線を感じたが、沙羅は軽く会釈をすると微笑んで社長室へと歩き出した。

沙羅の中で何かが吹っ切れたのだろうか。
何を言われようと自分の仕事を一生懸命するだけだと決めていたのだ。

高柳が社長室のドアをのノックしてドアを開ける。

すると霧島社長がこちらを向いて立っているではないか。

沙羅が社長に向かって挨拶をする。

「霧島社長、本日よりよろしくお願い致します。」

すると社長は微かに微笑み、すぐに真面目な表情をした。

「よろしく頼むよ。…早速だがこれから商談に出かける。高柳と一緒について来てくれ、急がせて悪いな。」

社長は自分の鞄を持って歩き出してしまった。

沙羅はいきなり出かけると言われ、高柳さんに運んでもらった荷物をデスクに置くと、鞄とノートPCを持って高柳さんの後ろ追いかけた。
忙しいと聞いていたがここまでなのかと沙羅は驚いていた。

しかし、忙しいほうが余計な事を考える時間が無くて救われるとも感じたのだった。

会社の入り口に待っていた社用車の助手席に沙羅は座り、後部座席に霧島社長と高柳が座った。
すると運転手の男性が沙羅に声を掛けた。運転手はちょうど父親くらいの年齢だった。

「私は社長の運転手をしている庄司と言います。これからよろしくお願いしますね。」

沙羅は慌てて庄司さんの方に向きを変えてぺこりと頭を下げた。

「七海沙羅と言います。何もわからないのですがよろしくお願い致します。」

緊張している沙羅を見て、庄司さんは優しい笑顔を向けてくれた。

「社長は仕事には厳しいですが、本当は優しい方です。大丈夫ですよ、頑張ってください。」



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