仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

「…申し訳ございません。すぐに先方へ連絡致します。」


すると、城ケ崎は呆れたようにため息をついた。


「七海さん、そんなことで霧島社長の秘書が務まるのかしら…しかも、結婚するのであれば社長を公私ともに支える事になるのですよ。私は貴女が彼に相応しいと思えないわ。」


城ケ崎は沙羅を厳しい目で睨みつけた。
しかし沙羅は、城ケ崎へ向かってゆっくりと、そしてしっかりとした口調で話始めた。
これには城ケ崎も予想外だったようだ。


「…私はまだまだ未熟かも知れませんが、社長を支えられるように努力します。」


沙羅は真っすぐな目で城ケ崎を見たのだった。
すると、城ケ崎は一瞬驚いた表情をしたが、くるりと踵を返すと小さな声で吐き捨てるような声を出した。


「…あなたが努力しても…無駄よ。」


沙羅は城ケ崎がその場から去った後も、少しの間動けずにいた。
冷静を装っていたが、手足が小刻みに震えていたのだ。

確かに今の私には霧島社長を支えることは出来ない。
霧島社長と私では釣り合わない事も分かっている。

嘘の結婚であっても、少し浮かれていた自分が恥ずかしく感じた。
霧島社長の気持ちに錯覚してはいけないと自分に言い聞かせるのだった。


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