仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

北斗の運転する車に乗るの初めてではないが、なんだか沙羅は緊張して落ち着かない気分だった。
すると、その気配に気づいた北斗が声を出した。


「…沙羅、君が緊張しているのかい?頼りないかもしれないが、そんなに心配しないでくれ、沙羅の両親に認めてもらえるよう誠心誠意頑張るよ。」

北斗は運転をしなが、沙羅の頭をポンと優しく叩いたのだった。
優しい笑みを浮かべる北斗をみると、なんだか本当の恋人が両親に挨拶してくれるような錯覚をしてしまいそうになる。



車は2時間ほど走ると、そこは小さな港町だった。
ここは沙羅の生まれ故郷だ。

沙羅は入社して以来なにかと忙しくしており、今年はお正月にも帰っていない事に気づいた。
考えてみたら2年ぶりくらいの故郷だ。

沙羅は実家までの道のりを、窓から懐かしく見ているのだった。

実家の前に車が到着すると、待ちきれないように沙羅の家から母親が飛び出してきた。

沙羅が紹介したい人を連れて帰って来ると連絡をもらい、驚きもあったのだろう。

沙羅と北斗が車を降りると母親は迎えに駆け寄ってくれた。


「沙羅、お帰り。」

「お母さん、ただいま!」


沙羅が駆け寄ってくれた母親に声をかけると、北斗はその後ろで深々と頭を下げた。
北斗に気づいたお母さんが微笑んだ。


「まぁ、あなたが霧島さんね、沙羅から聞いておりました。遠いところまで疲れたでしょ…どうぞ入ってください。」

「ありがとうございます。お邪魔します。」



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