仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

「沙羅様、本日は急ぎこちらに参りましたので、一旦失礼させていただきますね。」


夕食の片付けを終えた多岐が沙羅へ声をかけた。


「はい。本日はありがとうございました。」

明るく返事を返した沙羅だったが、多岐が心配そうに顔を覗き込んだ。


「沙羅様、お食事もあまり召し上がっていないようですし、お顔色が良くないようですね。お疲れなのかも知れませんが、大丈夫でしょうか?」


沙羅は努めて明るく平然を装っていたが、北斗の写真がどうしても頭から離れずにいた。
そのため、食事もあまり喉を通らないのだった。


「…少し疲れているのかも知れません。ご心配をお掛けして申し訳ございません。」


多岐は沙羅の返事に優しく頷くのだった。


多岐が帰ってしまうと、この広い家がさらに広く感じるのだった。
一人になるとどうしても余計な事を考えてしまうものだ。





< 53 / 143 >

この作品をシェア

pagetop