仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
先にベッドに横になった沙羅は、自分に言い聞かせるように小声をだした。
「沙羅、これは本当の結婚では無いのだからね。北斗さんに迷惑が掛からないように、いらない感情は持ってはダメだよ。」
沙羅は早く寝ようと目を閉じるが、なかなか眠ることは出来ない。
少しして、北斗が部屋に入って来る音がした。
沙羅は目をギュッと閉じて、寝たふりをする。
すると北斗は寝ている沙羅の頭に手を伸ばした。
「おやすみ…沙羅。」
北斗の大きく温かい手が沙羅の頭を優しく撫でたのだった。
我慢しているのにこれは反則だ。
沙羅の心臓がドクドクと大きな音を立てて、北斗に聞こえてしまうのではないかと心配するほどだ。
それと同時になぜか目を閉じているが、涙が頬に流れているのを感じる。
しかし部屋が暗いため、北斗は気づかないようで助かった。
…これ以上優しくしないで欲しい。
愛している女性がいたのなら、なぜその女性と結婚しなかったのだろうか。
沙羅は胸が苦しくこの気持ちをどうしたら良いのか分からないのだった。