仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

北斗が家を出て数時間経った頃、家のベルが鳴り多岐が応対した。

「まぁ、里香様、お久しぶりでございます。さぁどうぞ。」

多岐の案内で家に入って来たのは、太一の妻である里香だった。

沙羅は驚いて声を出した。


「里香さん!どうしてここに来てくださったのですか。」


里香はくしゃりとしたあの人懐っこい笑顔を見せた。


「北斗くんの家に行くって言ってたから、今日は甘い物でも差し入れに行こうと思ってきたのよ。これからは兄弟の嫁同士になるから仲良くしようと思ってね。」


考えてみたら、偽装であっても北斗と結婚すれば霧島家の嫁どうしなのだ。


「ありがとうございます。すぐにお茶淹れてきますね。」


沙羅は多岐を手伝いながらティーポットに紅茶を用意した。
ダージリンのフルーティーで甘い香りがほわほわと立ち昇る。

里香の持って来てくれたお菓子は、今話題のロールケーキだ。
中の生クリームが濃厚で甘すぎず美味しいと評判のお店だ。

お茶を運んでくれた多岐に里香が微笑んだ。


「多岐さん、ありがとうございます。多岐さんもここで一緒に召し上がりませんか。みんなで食べた方が美味しいですよ。」

「あら、あら、そんなよろしいのですか?是非ご一緒させて頂きます。」


多岐、里香、沙羅はテーブルを囲んで座り、それはまるで楽しい女子会のようだった。



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