仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
資料の作成や来客対応など仕事は忙しく目がまわるほどだった。
しかし沙羅は忙しいほうが余計な事を考える暇がなく助かっていた。
今は目の前の仕事をこなすだけだ。
少し遅めのお昼休み。
多岐が作ってくれたお弁当を会社の中庭にあるベンチで広げた時だった。
そこへ蓮が近づいて来たのだった。
沙羅は蓮に向かって身構えるような表情をした。
「沙羅…いいや七海さん。そんなに警戒しないで聞いて欲しい。僕は七海さんに謝りに来たんだ。」
「篠宮課長、あなたとはもうお話したくありません。どうぞお引き取りください。」
蓮はそのまま沙羅に向かって深々と頭を下げた。
「許してもらえるとは思っていない。ただ、これだけは伝えたかったんだ。…沙羅への気持ちは嘘では無かったんだ。…僕は会社での出世や地位に目が眩んでどうかしていたようだ。…七海さん、霧島社長と幸せになってください。」
沙羅は蓮の方を向くことは無かったが、蓮はそのままもう一度頭を下げると静かに去って行った。
「…どうして…今…そんなことを言いにくるの…なんなのよ…。」
沙羅は小さな声で呟いた。
そして、頬には涙が流れては座っている膝にぽたぽたと流れるのだった。
(…蓮…あなたを心から愛していたわ…でももうあなたに振り向くことは無く前に進もうと思います。これがきっとあなたに流す最後の涙ですね…)
沙羅は心の中で静かに蓮への別れを告げるのだった。