仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

北斗の愛した女性


それから忙しい日々が、1か月程続いていたある日。
社長室へ受付から連絡が入った。


「受付に社長にお会いしたいという女性がお見えです。お名前は、三枝凛子(さえぐさ りんこ)様と仰っていますが。いかがいたしましょうか。」


社長はちょうど来客中のため、沙羅は高柳へと伝えた。


「高柳さん、社長に会いたいと言う三枝凛子さんという女性がお見えみたいですが、社長へお伝えしたほうがよろしいでしょうか?」


それまで忙しく仕事をしていた高柳の手が止まった。
なぜかとても動揺しているように見える。


「三枝凛子と名乗っているのか…わかった。僕が受付に行ってくる。」


高柳さんが受付に直接行くとは珍しい。
その女性は社長の知り合いなのだろうか。

少しして、高柳は女性を連れて社長室に戻って来た。
その女性を見て、沙羅は心臓が大きく跳ねあがった。
美しいその女性は、以前に北斗の書斎にある本に挟まっていた女性に間違いない。

高柳は沙羅に向かって声をかけた。

「これから三枝さんを第三会議室にご案内する。社長が戻って来たら三枝凛子さんがお待ちだと伝えてくれ。」

「…か…かしこまりました。」


沙羅は努めて平然を装ったが声が震えてしまうほどだった。
三枝は沙羅に向かってフッと小さく笑った。


「新しい秘書さんね、ご苦労様。」


その女性は写真で見るより遥かに美しい女性だった。


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