仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
部屋から出て行こうとする三枝を止めようと高柳が声を大きくするが、全く聞いていないようだ。
その女性は速足でスタスタと社長室に向かい、ドアを開けてしまったのだ。
「北斗!帰って来たのよ。やはりあなた以上の男性はいなかったわ。もう一度やり直しましょうよ。」
北斗はデスクに座ったまま、両手を顔の前で組んで三枝を静かに見た。
「三枝様、お会いする時間が無いと伝えたはずですが…お引き取り願えますか。私も忙しいので。」
すると、三枝は北斗のデスクに近づき微笑んだ。
「北斗、みずくさいわね。新しい秘書さんが名前を間違えたのかと思って直接来たのよ。」
「貴女とお話しすることはもうありません。」
「じゃあ…私が秘書の仕事手伝ってあげるわ…新しい秘書さん、私があとはするのでもういいわよ。」
その時、北斗は立ち上がって大きな声を出した。
「三枝様、なんのおつもりでしょうか。それにうちの秘書を馬鹿にするような言葉は慎んでほしい。…彼女は私の大切な婚約者でもあるんだ。」
少しの間驚いた表情を見せた三枝だが、沙羅の方を見て微笑んだ。
「まぁ、あなたが北斗の婚約者なのね…今までどうもありがとう。きっと偽装で婚約者しているのでしょ。これからは私がその役目を引き受けるから大丈夫よ。」