仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
その日の夜。
沙羅はベッドの中で今日の事をいろいろと考えていた。
確かに太一が言う通り、逃げてばかりはいられない。
もし北斗が凛子を選ぶとしても、北斗の口から直接に偽装婚約を終わりにすると言われるまでは信じていたい。北斗への恩返しの意味でも信じるべきだったのかも知れない。
ーーー
「社長、おはようございます。昨日は突然早退してしまい申し訳ございませんでした。」
翌日沙羅はいつも通りに出社をしていた。
いつも通りの様子の沙羅に北斗は少し驚いているようだ。
「お…おはよう、七海さん。昨日は…」
北斗が何かを言おうとした時、高柳も出社して来た。
「社長、七海さん、おはようございます。すぐに今日の予定を打合せしましょう。」
高柳は昨日の事など無かったようにいつも通りに振舞ってくれている。
今日も忙しい一日になりそうだ。
午前中の会議から始まり、沙羅たちが一息付けたのはもう就業時刻が終わろうとしている頃だった。
ちょうど高柳は席を立ち、社長室には北斗と沙羅だけになったのだ。
すると北斗が話し始めた。
「沙羅、話したい事がある。今日は家に帰って来て欲しい。後で一緒に帰らないか?仕事が終わったらここで待っているよ。」
「…はい。」
どんな話をされるのか恐い気持ちもあるが、もう逃げたりはしたくない。