仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
沙羅は今日最後の他部署での打ち合わせを終えて、社長室へと戻ろうとしていた。
そして、社長室のドアをノックして開けようとしたその時、部屋の中から女性の声がしたのだ。
沙羅がそっとドアを開けると、そこには三枝凛子の姿があったのだ。
凛子は北斗の頬に手を添えて、顔を近づけていた。
まるでこれからキスをするかのような姿勢だったのだ。
凛子は驚く沙羅に気が付いており、沙羅に向かって怪しい笑顔を向けたのだった。
沙羅は持っていた書類をその場にバサッと落としてしまい、そのまま部屋を出ようとした。
その時、北斗の叫び声が後ろから聞こえて来た。
「沙羅!待ってくれ。」
北斗の声が聞こえたが、沙羅は振り向くことは出来なかった。
すると、北斗が沙羅に追いつき肩を掴んだのだ。
「沙羅、不快な思いをさせて悪かった。誤解なんだ。すべて凛子…いいや三枝さんが仕組んだ罠なんだ。」
北斗の言葉に沙羅が恐るおそる振り返ると、北斗はいきなり沙羅を引き寄せて、自分の腕の中に抱きしめたのだった。
突然のことに沙羅の心臓はドクンと大きな音を立てた。
しかし、抱き締めている北斗からも大きな心臓の音がトクトクと聞こえて来た。
「…北斗さん?」
「…沙羅…俺のそばにいてくれないか…君を失いたくないんだ。昨日1人になって初めて自分の気持ちに気づいたよ、偽装結婚なんてずるい事を言ったが、沙羅に初めて会った日から俺は惹かれ始めていたようだ。なんとかして俺の近くに居て欲しかったんだ。自分でも驚いているくらいだ。」