仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
「多岐さん、ただいま戻りました」
「ただいま。」


「あらあら、今日は珍しくお二人でお帰りなんですね。夕食の支度はできていますよ。」

多岐は北斗と沙羅に微笑んだ。

沙羅は無断で太一の家に泊まったことを詫びようと多岐に話の顔をみた。


「多岐さん、昨日は無断で他に宿泊してしまい、申し訳ございませんでした。」


沙羅が頭を下げると、多岐は笑顔で向けた。


「大丈夫ですよ。昨日は里香さんから沙羅さんを預かるとご連絡頂いておりました。」


里香が多岐に連絡をしてくれていた。
本当に里香にはお世話になりっぱなしだ。

沙羅は何か思い付いたように北斗の方を向いた。


「北斗さん、太一さんと里香さんにはたくさんお世話になってしまって…、何かお返ししたいです。」


すると北斗は何か考えるように顎に手を当てた。


「そうだな、なにか考えてみるか。」




夕食を終えた沙羅は多岐と一緒に後片付けをしていた。

すると、多岐が小さな声で話を始めた。


「北斗坊ちゃまに言うと怒られてしまいますが、昨日はお帰りになるなり食欲もないと言ってお食事も殆どお召し上がりにならなかったのですよ。なんだか溜息ばかりで落ち込んでいる様子でした。里香さんから沙羅さんを預かると連絡がありその理由がよく分かりました。…いつも強気の坊ちゃまですが沙羅さんには弱いみたいですね。」

「…そんな…私が理由ではないかも知れませんよ。」


しかし多岐はケラケラと楽しそうに笑うのだった。

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