仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
「さぁ、行こうか沙羅。」
北斗は沙羅へ自分の腕を差し出して、沙羅につかまれという仕草をする。
沙羅がそっと腕に捕まると、北斗は微笑んだ。
「沙羅、何も緊張しなくて大丈夫だ。俺の横で笑顔でいてくれたらそれで充分だ。」
パーティーはホテル最上階の大きなホールを貸し切りで行われる。
ここは政治家のパーティーなどが行われるVIP専用のラグジュアリーなホールだ。
もちろん沙羅は初めて来た場所だ。
北斗のエスコートで会場入口へ行くと、受付の方々や近くにいる関係者が一斉に立ち上がりお辞儀をした。
北斗は堂々としているが、沙羅は緊張して体が震えるほどだ。
「沙羅、大丈夫だ。緊張するなら俺だけ見ていろ。」
北斗は沙羅の緊張を和らげるよう笑顔を見せた。
すると、沙羅たちの後ろから声が聞こえて来た。
「おいおい、お前にそんな優しい表情ができたのか。」
振り向くと、そこにはニヤニヤと笑いながら男性が近づいて来たのだった。
良く見ると、この男性は見たことがある。
イケメン若手実業家としてメディアを騒がせている人物だろう。
女性関係もいろいろ報道されているプレイボーイという噂だ。
その男性は、沙羅に気づくと笑顔で自分の胸の前に手を当ててお辞儀をした。
まるで映画でみる王子のような振る舞いだ。
光沢のある黒のスーツを着ているが、見事に着こなしている。
「初めまして、美しいレディー。僕は城ノ内 聖夜(じょうのうち せいや)と申します。以後お見知りおきを。」
すると北斗は沙羅を城之内から遠ざけるようにして話し出した。
「沙羅、こいつには近づくなよ…危険人物だからな。」
「いってくれるじゃないか…北斗。あれだけ女を避けてきたお前が女性をエスコートしているとは驚きだな。紹介してくれよ。」
「聖夜にだけは紹介したくない。俺達に構わないでくれ。…ほら向こうの方で女性たちがお前を見ているぞ。行ってやれよ。」
確かに女性たちのグループがこちらを見ている。
もちろん城之内もイケメンだが、北斗も負けないくらいカッコいい。
この二人に囲まれていると女性の視線が刺さるようで痛い。
城之内が他の人と話を始めると、北斗は沙羅に向かって小さな声で耳打ちをした。
「城之内聖夜は、あんな感じでふざけているが仕事ができる鋭い男なんだ。以前に仕事で係わった事があってそれ以来なにかと俺にちょっかい出してくるんだ。何を考えているのかわからない食えない男だよ。」