仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
北斗の話が終わると、壇上から降りるところにちょうど立ちふさがるように立っていたのは北斗の父親だ。
腕組みをして、いかにも怒っているという表情だ。
しかし、最初にかけられた言葉は意外なものだった。
「北斗、流石だよ。やってくれたな。俺に何か言わせないために、ここで皆に宣言するとは驚いたよ。肝の据わった恐い男になったな。…だが、私はお前たちの結婚を認めているわけでは無いからな。」
父親が去って行った後、とても華奢な美しい女性がどこにいたのか急に現れたのだ。
「お母さん、体調は大丈夫なのですか。」
北斗が声をかけたことで分かったが、この女性は北斗たちの母親だった。
よく見ると、北斗の顔を優しくしたような顔でよく似ている。
北斗は母親に似ているようだ。
母親は優しく微笑んだ。
「今日は体調が良いので、病院から許可をもらったの。…あなたが沙羅さんね。実は、ばあやの多岐からいろいろ聞いていたのよ。とても素直で可愛いお嬢さんと伺っていたわ。会いたかったのよ。」
北斗の母親は病気がちで入退院を繰り返しているそうだ。
父親とは違い、とても優しそうな女性だった。
「ご挨拶が遅くなりました。七海沙羅と申します。よろしくお願い致します。」
母親は笑顔で応えた。
「そんなに畏まらないでくださいね。…北斗は少し頑固なところがあるから大変だと思うけど、よろしくお願いね。」