魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
「アリーセ。久しぶり」
ある春の日の午後、アリーセの家を一人の青年が訪れた。
「ジギワルド様!」
玄関まで出迎えたアリーセの表情がぱっと輝く。
二週間に一度、この森の家には食糧や生活必需品の荷物を運んでくれる人が訪れる。彼らは魔女の贖罪を監視する監視者の一族、もしくはその使いだという。何人かいて、毎回訪れる人は違う。一回こっきりの人もいれば、長い間継続してきてくれる人もいる。
ジギワルドは、四年ほど前から月に一度ほど荷物を運んできてくれる青年だ。年齢はこの前二十歳になったばかりで、監視者関係の人の中で一番若い。
輝くプラチナブロンドに澄んだ翠の瞳。端正な顔立ちにすらりとした体躯。着ている服も質がよく洗練されたものだ。彼の正確な身分は知らないけれど、おそらく貴族とかそういった立場の人なのだろうとアリーセは思っている。
アリーセにとって、彼はありがたい存在だった。
いくら監視者といっても「魔女」とはあまり関わりたくないのだろう。荷物を運ぶと逃げるように帰っていく人も多いなか、ジギワルドだけは気さくに話しかけてくれるのだ。ベルタ亡き今、彼だけがまともなアリーセの話し相手といってもいい。
祈りを繰り返す単調な日々の中、彼の来訪だけがアリーセの楽しみだ。
ジギワルドが食糧庫に食べ物を運んでいる間、アリーセはお茶の準備をする。ジギワルドがこの前持ってきてくれた紅茶だ。このために焼いた焼き菓子も添えた。
作業が終わってアリーセがいる食堂にやってきたジギワルドに声をかける。
「ジギワルド様。お茶でもいかがですか? この前いただいたお茶を淹れてみたんです」
「ありがとう。いただくよ」
食堂の椅子に腰掛けて、ジギワルドがカップに手を取った。生活感あふれる背景なのに、ジギワルドの動作にはとても品があって、そこだけ別世界のようだ。
ある春の日の午後、アリーセの家を一人の青年が訪れた。
「ジギワルド様!」
玄関まで出迎えたアリーセの表情がぱっと輝く。
二週間に一度、この森の家には食糧や生活必需品の荷物を運んでくれる人が訪れる。彼らは魔女の贖罪を監視する監視者の一族、もしくはその使いだという。何人かいて、毎回訪れる人は違う。一回こっきりの人もいれば、長い間継続してきてくれる人もいる。
ジギワルドは、四年ほど前から月に一度ほど荷物を運んできてくれる青年だ。年齢はこの前二十歳になったばかりで、監視者関係の人の中で一番若い。
輝くプラチナブロンドに澄んだ翠の瞳。端正な顔立ちにすらりとした体躯。着ている服も質がよく洗練されたものだ。彼の正確な身分は知らないけれど、おそらく貴族とかそういった立場の人なのだろうとアリーセは思っている。
アリーセにとって、彼はありがたい存在だった。
いくら監視者といっても「魔女」とはあまり関わりたくないのだろう。荷物を運ぶと逃げるように帰っていく人も多いなか、ジギワルドだけは気さくに話しかけてくれるのだ。ベルタ亡き今、彼だけがまともなアリーセの話し相手といってもいい。
祈りを繰り返す単調な日々の中、彼の来訪だけがアリーセの楽しみだ。
ジギワルドが食糧庫に食べ物を運んでいる間、アリーセはお茶の準備をする。ジギワルドがこの前持ってきてくれた紅茶だ。このために焼いた焼き菓子も添えた。
作業が終わってアリーセがいる食堂にやってきたジギワルドに声をかける。
「ジギワルド様。お茶でもいかがですか? この前いただいたお茶を淹れてみたんです」
「ありがとう。いただくよ」
食堂の椅子に腰掛けて、ジギワルドがカップに手を取った。生活感あふれる背景なのに、ジギワルドの動作にはとても品があって、そこだけ別世界のようだ。