魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
王宮の広間。白に金で模様が描かれた内装。目を引くのは、中央にある豪華なシャンデリアだ。楽団が優雅に弦楽四重奏を奏でている。
騎士によって扉が開けられ中の光景が目に入ってきたとき、アリーセは一瞬ひるみそうになってしまった。招待客も五十人はいるのではないだろうか。
(やっぱり小規模だなんて信じなくてよかった……)
アリーセは心底思った。いや、王太子殿下にとっては小規模なのかもしれないが、アリーセにとっては十分に大きな規模だ。
「大丈夫だ。アリーセ。側に俺がいるから」
エスコートのために隣にいるレナールがそっと囁いてくれる。アリーセはうなずくと、レナールの腕を掴む手にほんの少しだけ力を込めた。
レナールがいれば大丈夫。アリーセと違い、高位貴族である彼は社交にも慣れている。
レナールは黒地に金糸で刺繍の入った夜会服だ。タイピンにはアメジストがさりげなく使われている。いつもよりも神々しさすら感じられて、この人の隣に立つのか、と恐れ多さに気が遠くなってしまったくらいだ。
ラウフェンの侍女が腕によりをかけてくれたので、大丈夫だろう。そう言い聞かせないと逃げ出したくなる程度には不安がある。
レナールが用意してくれたのは、清楚な青のドレスだった。流行に左右されないデザインで、裾にさりげなくレースがあしらわれている。サファイヤのそろいのイヤリングとネックレスもレナールが持参した物だ。公爵家のものらしい。いつも下ろしている金色の髪は後ろで結い上げて、軽く化粧も施されている。その姿は自分でもちょっとびっくりするくらい、いっぱしの令嬢に見えた。
『きれいだ。アリーセ。よく似合う』
着飾ったアリーセを見たレナールは、心なしか嬉しそうだった。面と向かって褒められるとは思わなくて、アリーセは恥ずかしくなってしまう。
同行した外交官がドレスを見て「レナール殿にもそういう可愛らしいところがあったのですね」と訳知り顔だったのは気になるが。
レナールと二人で会場に入ると、早速ブラッツがこちらへ近づいてくる。ブラッツは薄い水色の上着に白いトラウザーズという組み合わせで、服装のせいか、昨日会ったときよりも輝いて見えた。
騎士によって扉が開けられ中の光景が目に入ってきたとき、アリーセは一瞬ひるみそうになってしまった。招待客も五十人はいるのではないだろうか。
(やっぱり小規模だなんて信じなくてよかった……)
アリーセは心底思った。いや、王太子殿下にとっては小規模なのかもしれないが、アリーセにとっては十分に大きな規模だ。
「大丈夫だ。アリーセ。側に俺がいるから」
エスコートのために隣にいるレナールがそっと囁いてくれる。アリーセはうなずくと、レナールの腕を掴む手にほんの少しだけ力を込めた。
レナールがいれば大丈夫。アリーセと違い、高位貴族である彼は社交にも慣れている。
レナールは黒地に金糸で刺繍の入った夜会服だ。タイピンにはアメジストがさりげなく使われている。いつもよりも神々しさすら感じられて、この人の隣に立つのか、と恐れ多さに気が遠くなってしまったくらいだ。
ラウフェンの侍女が腕によりをかけてくれたので、大丈夫だろう。そう言い聞かせないと逃げ出したくなる程度には不安がある。
レナールが用意してくれたのは、清楚な青のドレスだった。流行に左右されないデザインで、裾にさりげなくレースがあしらわれている。サファイヤのそろいのイヤリングとネックレスもレナールが持参した物だ。公爵家のものらしい。いつも下ろしている金色の髪は後ろで結い上げて、軽く化粧も施されている。その姿は自分でもちょっとびっくりするくらい、いっぱしの令嬢に見えた。
『きれいだ。アリーセ。よく似合う』
着飾ったアリーセを見たレナールは、心なしか嬉しそうだった。面と向かって褒められるとは思わなくて、アリーセは恥ずかしくなってしまう。
同行した外交官がドレスを見て「レナール殿にもそういう可愛らしいところがあったのですね」と訳知り顔だったのは気になるが。
レナールと二人で会場に入ると、早速ブラッツがこちらへ近づいてくる。ブラッツは薄い水色の上着に白いトラウザーズという組み合わせで、服装のせいか、昨日会ったときよりも輝いて見えた。