女王陛下は溺愛禁止!
「本気でおっしゃっておられますか」
「ことここに至って、断る理由がなかろう。王子殿下を負傷させた負い目もある。議会もあの王子との結婚には賛成だった様子だ。殿下は子をいらぬという私に、私を手に入れたいだけだと申した。ならば政務の邪魔もせず、大人しくしていてくれるだろうよ」

「しかし……」
「あれだけ結婚を勧めたお前が渋るとはな」
 アンジェリアは苦笑した。

「王子が他国で命を落としかけるなど、下手を踏めば戦争になりかねない。それが結婚で収められるならばむしろ安いかもしれぬぞ」
 現状、戦争は両国にメリットがない。婚姻で結びつきを強くしたほうが得られる利益が大きい。
「話、終わった?」
 唐突に割って入った声に、アンジェリアはそちらを見た。
 エアがまたドアをすりぬけて入って来ていたようだ。

「ああ、終わった」
「あ、やっぱりお菓子残ってる! 食べていい?」
「許可する」
「やった!」
 エアは喜んでソファに座り、お菓子をほおばる。
 アンジェリアはふっと表情を和らげる。

「あの王子ならばエアを道化として残すことにも異論は唱えぬだろう。ラドウィルトも補佐官として仕事を続けてもらう。良いな?」
「……もちろんでございます」
 ラドウィルトは固い表情で答える。
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