女王陛下は溺愛禁止!
***

 茶会は貴賓室で行われた。
 クライドはまだ安静が必要な時期であり、再度の襲撃への警戒の結果でもあった。

 出席者はアンジェリア、クライドのふたりだけ。ラドウィルトとアンジェリアの侍女、クライドの護衛が同室内で控えた。エアは別室でメイドがお菓子を渡して気を引いており、ここにはいない。
 お茶を運んだメイドは部屋へ通されず、入り口で侍女がワゴンを受け取り、中でお茶を淹れてアンジェリアたちに配膳する。

「お体の調子はいかであられるか」
「万全とはいかないまでも、快調でございますよ」
 アンジェリアの問いに、クライドが笑みを返す。
 治癒の魔力で繋げたものの、無理をすれば傷が開く可能性もあるという。この茶会以降はまた安静を指示されている。

「お早い回復、さすがでございます」
「陛下がお見舞いくださったおかげでございます。寝てばかりいると思われるは男の恥」

「大ケガを負いながらもその軽口、豪胆でおられる」
「陛下にお誉めいただけるのであれば伝説のドラゴンが相手でも恐ろしくはございません」
 アンジェリアは苦笑を浮かべたが、その口の端には緊張が漂っていた。
 クライドはそれを見逃さない。紅茶のカップを手にしたまま、彼女にたずねる。

「今日はいつもより気を張っておられるご様子。いかがされましたか」
「クライド殿にはごまかしは効かぬな」
 アンジェリアはまっすぐに彼を見た。

「クライド殿、私と結婚なさりたいご意志に変わりはございませんか」
「これはまた、直球でのおたずねであられる」
 クライドは笑みを返した。
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