女王陛下は溺愛禁止!

***

 貴賓室で待たされたレイジェリーナは、落ち着きなく部屋を歩き回った。自分が生まれ育った宮殿なのに、貴賓室のせいかよそよそしく見える。

 一週間前、襲撃された姉をクライドがかばって重傷を負ったと聞かされた。
 即座に姉への面会を申し入れたが許されず、今日ようやく許可が出た。

 赤ん坊は預けており、マリオンは仕事を抜けて同行してくれた。
 迎えが来て、アンジェリアの私室に案内される。
 部屋にいた彼女はクライドとの縁談を確定する茶会を終えたところだった。

「レイジェリーナ、今日はどうした?」
 笑みを浮かべた姉に、レイジェリーナは暗い表情を向けた。

「大変な状況だと聞きましたので」
「心配をかけてすまない。大事ない」
「ふたりきりの姉妹だというのに、知らせはいつもあとからで」
 不満をこぼすレイジェリーナに、アンジェリアはただ笑みを見せた。
 女王の体調ひとつとっても国家の(まつりごと)に関わるため、身内であっても知らせることができない場合がある。

「婚約が内定されたとも噂に聞きましたが、真でございますか」
「耳が早いな」
「陛下が医務室に毎日おいでだったのは周知でございます」
 マリオンが言い、そうだな、とアンジェリアは頷く。

「正式な発表までは誰にも言わないでくれ」
「クライド殿下が負傷された責をとっての結婚ではないのですか?」
「殿下のお人柄に私が惚れたのだ」
 だが、レイジェリーナには姉が無理をしているとわかり、眉を寄せた。
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