女王陛下は溺愛禁止!
「そのような顔をするな。これからは夫を迎えろと言われなくてすむと思うと楽だ」
「陛下はそれでよろしいのですか。意に染まぬ結婚など……」
 マリオンがいたわるように言い、アンジェリアは微笑を浮かべた。
「クライド殿は良い方だ。心配はいらぬ」
 それでもレイジェリーナは不安を隠せなかった。



 アンジェリアとの面会を済ませたレイジェリーナはマリオンを伴ってクライドを見舞った。
 貴賓室で対面したクライドは元気そうだった。
 姉を助けてくれた礼を述べ、体調を伺った。発表前なので婚約には触れず、当たり障りない会話をする。マリオンとも仲良くなれそうな雰囲気に安堵して部屋を辞した。
 数歩歩いたところで、あ、とレイジェリーナが声を上げる。

「申し訳ありません。ハンカチを部屋に落としてきたようです」
「そうか。では取りに戻ろう」
 踵を返すマリオンを、レイジェリーナは手で制する。

「ハンカチだけですもの、ひとりで行って参ります」
 レイジェリーナはそう言ってマリオンを残して貴賓室に戻った。
 貴賓室にいたクライドはレイジェリーナを見てそつのない笑みを浮かべた。

「いかがされましたか」
「確認をいたしたく」
 レイジェリーナは人がいないのを確認し、クライドに尋ねる。

「姉上と婚約したと聞きました。このあとはどうなさいますの」
「もちろん、結婚しますよ」

「必ずや仕留めてくださると?」
「そうですよ。以前、あなたにお約束した通り」
 にやり、とクライドは笑い、レイジェリーナは満面の笑みを浮かべる。
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