女王陛下は溺愛禁止!
 約束とは、初めて同席した茶会での密約のことだ。
「それだけ確認できれば良いのです」
 レイジェリーナは満足そうに軽く頭を下げる。

 リストンの自称王族はまったくお粗末な人間性で、襲撃ごときですぐに帰国していった。だが、この男は違う。ハプニングでどうなることかと思ったが、レイジェリーナの望みを叶えてくれそうだ。

「では、ごきげんよう。お大事になさいませ」
 レイジェリーナは楚々と歩いて部屋を出ると、廊下で待っていたマリオンににっこりと微笑みかける。

「ハンカチはあった?」
「ええ、ありました」
 レイジェリーナはハンカチをひらりと振って見せる。
 アンジェリアに面会したときには不安そうだった妻が上機嫌になっていたため、マリオンは首をかしげた。

 だが、姉の結婚はレイジェリーナにとっては長年の懸念事項だった。それが解消され、クライドも聞いていたより元気そうだったから、ほっとしたのだろう。
 そう思ったマリオンは深く追求せず、妻とともにその場を歩き去った。

***

 エアはまどろみの中でアンジェリアを見る。そばにいると邪魔にされてしまうため、こうして眠りを介して彼女を見守る日が多くなった。
 今日もアンジェリアはかわいい。

 昨日は茶会でクライドとの縁談をまとめたようだ。エアはその間、菓子につられて別室にいたが、状況をわかってないわけではない。いざとなればアンジェリアを神の世界へ連れ去ればいいだけだから大して気にしていないのだ。
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