女王陛下は溺愛禁止!
「それだ。もう少し普通にしろ」
「普通にしております」
 ラドウィルトは物理的にも常より距離をとっており、それがまた壁のようで彼女を傷付ける。
 自分たちは同士のはずだ。共に国を支える同士。こんな距離をとっていいはずはない。

「一昨日までと全く違うではないか」
 アンジェリアが咎めると、ラドウィルトは笑みを浮かべた。どこかしら自嘲が含まれた笑み。

「それまでが普通ではなかったのだと気が付きました。陛下にはご不快を持たれたご様子、申しわけございません」
 ラドウィルトの慇懃さが、今日はやけに鼻につく。

「今さらなんだというのだ」
「ご結婚なされるのですから、距離は正しくとらなければなりません」
「そなたと私の仲でそれを言うのか?」
「なればこそ、でございます」
 ラドウィルトの強硬な態度に、アンジェリアはさらにムッとする。

「これからはクライド殿下が陛下のおそばに侍るのですから、私はお役御免でございましょう」
「補佐と王配では役割が違う!」
 腰を浮かせて叫ぶアンジェリアに、彼の笑みは変わらない。

「私はいっそ別の役職をいただいたほうがよろしいかと思っております」
「ずっとそばにいると思っていたのに!」
 焦ったようなアンジェリアの声に、ラドウィルトの顔から表情が消える。
「そのおっしゃりようは世間に誤解を与えます。おやめくださいませ」

 彼女は絶句した。拒絶の言葉が、まるで今生の別れのように響く。
「お前が私を女王にしたのだ。なにがあろうとも私に仕えよ!」
「ですからずっとお支えして参りました。これからも陰からお支えする所存でございます」
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