女王陛下は溺愛禁止!
「一生を私に仕えると誓ったのはお前だろう!」
「誓いました。偽りなく一生を陛下に捧げる覚悟でおります」
 無表情のラドウィルトを睨みつける。力なく悲し気な目で見つめ返され、アンジェリアは心臓をつぶされる痛みに目を逸らした。

「王配となられる方はただおひとり。替えのない唯一無二のお方、大事になさりませ」
 感情のない言葉に、力なく椅子に座り直す。

「そうだな……」
「おわかりいただけたご様子。安堵いたしました。では、失礼いたします」
 ラドウィルトは一礼すると執務室を退室した。
 アンジェリアはデスクに両肘をついて頭を抱える。
 これまでだって離れた時間を過ごすことはいくらでもあった。

 アンジェリアの手の届かないところの業務を任せ、表裏一体で仕事をこなしてきた。災害が起きたおりには先行してもらい、報告書では足りない部分を報告させ、独自に対応させることもあった。
 そうした動きができるのは、彼がアンジェリアを理解してくれていると思うからだ。
 果たしてクライドとの間にそれほどまでの信頼関係が築けるのだろうか。

 人柄は良いと思う。
 王族は自分の命を優先するように教育される。
 だが、とっさのあのとき、彼は自分の身を挺してアンジェリアをかばった。通常の人間でも難しい行動を瞬時にとれる人間性は素晴らしい。

 だが、やはり彼は隣国の王族だ。なにかあった際には隣国の利益を優先するのではなかろうか。その疑念は拭えない。
 最終的な、根底からの信頼を築くことはできるのだろうか。

 ラドウィルトこそが唯一無二。戦友のようにずっと一緒だった。すでには空気のように寄り添い、背中を預けられる存在であり、いなくなるなんて考えられなかった。もはや自身の一部のようにすら感じている。
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