女王陛下は溺愛禁止!
 結婚したら、彼は本当に離れてしまうのだろうか。
 そうして彼もまた女性を選び、生涯をともにするのだ。アンジェリアの知らないところで、知らない女性と。

 胸が裂けるように痛くて、アンジェリアは顔を覆った。
 ダメだ。考えるな。
 そう思うのに、脳裏にはラドウィルトの姿だけが浮かび、消えてはくれない。

 アンジェリアの心の底の、なにかの蓋が開く。
 開くまいとしていたそれは、あふれる悲痛とともに重々しく開き、アンジェリアに満ちていく。

 ラドウィルトと離れたくない。
 彼が離れるなんて許せない、ありえない。
 同じことだけが頭の中をぐるぐると回る。

 これが恋なのか。
 アンジェリアは胸をぎゅっと抑える。
 まさか、自分がラドウィルトを好きだなんて。

 恋を自覚したことは今までなかった。
 本で読む恋はいつもときめきに満ちており、浮き立つものだ。

 ラドウィルトにそんな感情を持ったことはない。
 なのに、今まちがいなく抱いているのは、彼への執着心。

 クライドとの結婚を反対してほしい。反対しないなんて寂しい。なんで止めてくれないんだ。

 嫉妬を願うこんな執着、恋以外には有り得ない。
 結婚を勧めながら、いつも候補の男性に難癖をつけていたラドウィルト。アンジェリアが結婚しないことにどこか安堵しているようにも見えていた。
 そんな彼に安堵していたのは自分だ。
< 123 / 204 >

この作品をシェア

pagetop