女王陛下は溺愛禁止!

***

 エアは眠りの中でアンジェリアを見る。
 涙をこぼす彼女もまた美しくかわいくて、愛おしい。
 そろそろ動くべきか。

 アンジェリアを悲しませる者は何人であろうと許しがたい。
 さあ、なにから始めようか。
 いや、始める必要もない。さっさとアンジェリアをさらってしまおうか。

 それともまだこの状況を楽しんでいようか。
 迷いすらも彼には楽しい。

 くすくすと笑いをこぼして目を覚まし、エアは寝台に身を起こす。
 メイドがお菓子を持って来る時間だ。
 人間の作るお菓子はおいしい。まだしばらくは人の世にいるのも悪くはない。

***

 翌日の早朝に届いた急報はアンジェリアを愕然とさせた。
 蒼白のラドウィルトとともにクライドが移動させられた医務室へと急ぐ。

 警備兵に厳重に囲まれた部屋の中、アンジェリアを出迎えたクライドはにっこりと笑む。
「陛下、いかがなさいましたか」
「ご無事であられるか!」

「陛下の護衛兵が守ってくれましたゆえ」
「しかし、傷が開いたと」

「大事ございません。すぐに神官が治癒魔力で治してくれましたので」
 クライドは青い顔で平然と答える。
 アンジェリアは顔をしかめた。
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