女王陛下は溺愛禁止!
「神だから人に敬称をつけたくないのか」
「一応、神だからねえ」
 エアは頭をぽりぽりとかいた。

「とりあえず今の状況、教えてもらえない?」
「神なのにわからないと? 見ていたのではないのか?」
「無茶言わないでよ。なんでもってわけにはいかないんだから。暇だから寝てたときもあるし」
 エアの言い訳に、アンジェリアは肩をすくめた。

***

 地下神殿を出ると、アンジェリアはラドウィルトとエアを私室に招き、侍女にお茶の用意を命じた。
 メイドがお茶とお茶菓子の載ったワゴンを持って来て、侍女がお茶を淹れる。
 準備が終わると彼女らは退室し、アンジェリアはエアと向かい合って座り、話し始めた。

 アンジェリアが王位を継承したのは十年前。父を亡くし、悲しみもさめやらぬ中、戴冠した。
 王位に喜びなどなく、ただひたすらに重責への不安があった。

「無理に王位を継ぐことはないのだよ」
 叔父である大公、ロマス・ファーゼア・シュリアンは心配げにそう言ってくれた。
 優しい叔父は摂政として政務を補助してくれて、本当に助かっていた。
 彼の妻である叔母が息子である従兄のダルトンと結婚させようとするのが煩わしい以外は、順調な滑り出しだったと思う。

 だが半年後、ロマスは謀反を起こした。
 アンジェリアは泣いた。なんのことはない、彼は心配するふりをして王位を狙っていたのだ。
 言葉通りに受け取って感謝し、立派な女王になるのだと研鑽を重ねていた自分の、なんと浅はかで滑稽なことか。
 謀反に傷心する間もなく対応を迫られた。
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